2019年の各国のGDP推移一覧。各国の見通しや推移、発表内容などをまとめ。


2019年 各国のGDP推移

2018年 見通し 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 2019年
日本(前期比) 0.6% 1.3% 0.5% 0.4% 0.2%    
米国(年率換算)     3.2%   1.9%    
EU 1.9% 1.1% 1.2%   1.1%    
英国(前期比)       ▲0.2% 0.3%    
ロシア 2.3% 1%台 0.5% 0.9%      
オーストラリア   2.75%→2.25% 1.8% 1.4% 1.7%    
韓国 2.7% 2.5%→2.2% 1.8% 2.1% 2%    
台湾   2.19%→2.46%          
中国 6.6% 6%~6.5% 6.4% 6.2% 6%    
ブラジル   2.2%→1.6% 0.5% 1% 1.2%    
トルコ 2.6% 2% ▲2.6% ▲1.5% 0.9%    
インド     5.8% 5%      
インドネシア 5.17% 5.3% 5.07% 5.05% 5.02%    
タイ   2.7%~3.2% 2.8% 2.3% 2.4%    
マレーシア   4.3%~4.8% 4.5% 4.9% 4.4%    
シンガポール 3.3%   1.3% 0.1%      
フィリピン   6~7% 5.6% 5.5% 6.2%    


【日本】
2019年11月14日、7-9月の実質GDP成長率を0.2%と発表した。個人消費は0.4%増。大雨などの災害が消費を下押しした。

2019年5月20日、1-3月期の実質GDP成長率を前期比0.5%と発表した。GDPの6割を占める個人消費は0.1%減。食品の値上げや暖冬による冬物衣料や暖房関連の需要減、新型モデルの発表がなかった自動車販売減などが影響した。住宅投資は1.1%増。設備投資は0.3%減。製造業を中心に設備投資を先送りする動きが強まった。公共投資は1.5%増。政府が組んだ2018年度補正予算の効果が出た。輸出は2.4%減。中国経済の減速などでIT関連の需要が落ち込んだ。輸入は4.6%減だった。


【米国】
2019年10月30日、7-9月期の実質GDP成長率を1.9%増と発表した。個人消費は堅調。雇用の拡大が家計支出を後押ししている。住宅投資は5.1%増。設備投資は3%減。輸出は0.7%増。貿易摩擦によって製造業の景況感が落ち込んでいることが影響した。

2019年4月26日、1-3月の実質GDP成長率を3.2%と発表した。GDPの7割を占める個人消費は1.2%増。自動車など耐久消費財は5.3%減と低迷するも、サービス消費などが底堅く伸びた。設備投資は2.7%増。大型減税効果で底堅く推移した。住宅投資は2.8%減。住宅価格の下落もみられ、調整局面に入った。輸出は3.7%増。輸入は3.7%減だった。

■2019年12月13日 2020年の実質GDP成長率は2%を見込む (FRB)


【EU】
2019年10月31日、7-9月期の実質GDP成長率を1.1%と発表した。米中貿易摩擦などを背景にGDPの3割を占めるドイツを中心に輸出が落ち込み、生産も落ち込んだ。

2019年4月30日、1-3月期の実質GDP成長率を1.2%と発表した。サービス業を中心に企業は雇用を拡大し、個人消費が堅調に推移した。

米トランプ政権とEUの通商摩擦の悪化や英国のEU離脱問題、イタリアの財政問題などが影響する。EUの潜在成長率は1%程度とされている。


■2019年11月7日、欧州委員会は実質GDP成長率予想を2019年は1.2%から1.1%、2020年は1.4%から1.2%に下方修正した。米中貿易摩擦など外部影響が内需まで波及しつつある。欧州委員会は「外部環境は厳しく、不確実性はなお高い」としている。

■2019年5月7日、欧州委員会は2019年の実質GDP成長率見通しを1.3%から1.2%に下方修正した。けん引役のドイツで製造業がふるわないことや米国との通商協議など不透明感がましていることが要因。

■2019年7月10日、欧州委員会は2020年の実質GDP成長率見通しを1.5%から1.4%に下方修正した。好調な雇用が支える形で底型一方、米中貿易摩擦や中東の緊張状態の高まりなどが影響する。


【英国】
2019年11月11日、7-9月期の実質GDP成長率は0.3%となった。賃金増で個人消費は堅調。EU離脱問題で企業投資は鈍化した。

2019年8月9日、4-6月期の実質GDP成長率は0.2%減となった。GDPの6割を占める個人消費は0.5%増。賃上げが追い風となった。企業投資は0.5%減。EU離脱に備えた3月までの企業在庫増の反動減や危機対策で自動車大手が4月に工場休業日を設けたことが影響した。


【ロシア】
2019年8月13日、4-6月期の実質GDP成長率を0.9%と発表した。実質所得が減少。収入の伸びがインフレ率を下回っている。GDPの半分を占める個人消費も振るわなかった。また、個人ローンが増加している。2018年は23%増、2019年上半期は25%増となっている。オレキシン経済発展相は、2021年には資金繰りが急速に悪化すると予測した。

2019年5月17日、1-3月の実質GDP成長率を0.5%と発表した。投資、消費とも振るわなかった。

2019年はワールドカップなど大型投資が見込める事業予定が乏しい。2019年1月に18%から20%に引き上げた付加価値税の影響でGDPの5割超を占める個人消費も停滞するとみられ、成長率は1%台になる見通し。


【オーストラリア】
2019年12月4日、7-9月の実質GDP成長率を1.7%と発表した。家計消費支出は0.1%増。政府消費支出は0.9%増。防衛などに積極的に支出した。

2019年9月4日、4-6月の実質GDP成長率を1.4%と発表した。GDPの6割を占める家計消費支出は0.4%増。住宅価格の下落で資産価値低迷を懸念。自動車購入などが減少した。総固定資産形成は1.7%減。住宅投資の4.4%減などが影響した。輸出は1.4%増。鉄鉱石やLNGなどの資源が好調だった。輸入は1.3%減。個人消費の低迷で消費財などを中心に減少した。

■2019年12月16日、2019年度の実質GDP成長率見通しを2.75%から2.25%に下方修正した。「2019年半ばにかけての住宅価格の下落が家計消費の低下や住宅建設の減少につながり、成長率を押し下げた」としている。


【韓国】
2019年10月24日、7-9月の実質GDP成長率は2%増となった。財政支出の拡大による景気下支え効果が息切れし、景気は鈍化した。

2019年4月25日、2019年1-3月の実質GDP成長率は前期比0.3%減となった。製造業が振るわず、設備投資が急減。輸出の低迷も続いた。設備投資は10.8%減。半導体市況の低迷で、半導体製造装置などへの投資が減った。航空会社の機材購入が減少し、輸送機器への投資も減った。建設投資は0.1%減。マンション建設が一巡し、土木工事も減った。民間消費は0.1%増だった。

■2019年4月18日、2019年の実質成長率見通しを2.6%から2.5%に下方修正した。主力の半導体の不振が予想を超え、設備投資や輸出の見通しを低く見直した。

■2019年1月24日、2019年の実質GDP成長率見通しを2.7%から2.6%に下方修正した。GDPの4割を占める輸出にブレーキがかかる。輸出の25%を占める半導体が失速。中国の景気減速も影響する。2020年は2.6%と予測した。


【台湾】
■2019年8月16日、2019円の実質GDP成長率見通しを2.19%から2.46%に上方修正した。米中貿易摩擦の影響で、IT機器工場などが中国から台湾にシフト。対米輸出の増加や生産能力増強に向けた設備投資が増加している。


【中国】
2019年10月18日、7-9月の実質GDP成長率を6%と発表した。米国との貿易摩擦で消費や投資、輸出が低迷した。社会消費品小売総額は8.2%増。新車販売やスマートフォンが低迷した。マンションや工場建設などの固定資産投資は5.4%増。不動産投資は堅調も、大規模減税による地方財政の悪化でインフラ投資が縮小した。工業生産は5.6%増。自動車や携帯電話の生産が不振だった。輸出は0.1%減。輸入は5%減となった。

2019年7月15日、4-6月の実質GDP成長率を6.2%と発表した。米中貿易摩擦が長期化し、輸出と投資が低迷した。中国政府は3月に打ち出した約32兆円の大規模減税の効果を見極める。家計消費支出は5.2%増。雇用不安などから0.2ポイント縮小した。マンションや工場建設などの固定資産投資は5.8%増に縮小。工業生産は6%増に縮小した。

2019年4月17日、1-3月の実質GDP成長率を6.4%と発表した。中国政府が2018年秋から減税やインフラ投資、金融緩和などの景気対策を実施。足元で効果が出始めている。百貨店やスーパー、インターネット通販の売上高を合計した社会消費品小売り総額は8.3%増。自動車の販売不振から減速した。マンションや工場建設などの固定資産投資は6.3%増。不動産の開発投資が堅調。景気対策でインフラ投資も持ち直しつつある。工業生産は6.5%増。鉄鋼や化学製品の生産が好調だった。輸出は1.4%増。米中貿易摩擦で2018年10-12月の5.7%増から減少している。

2019年3月5日、中国の李克強首相は2019年の経済成長率の目標を6~6.5%とした。

米国との貿易摩擦を踏まえ、財政支出の拡大を柱とした大規模な景気対策を打ち出した。企業の税負担と社会保障料の負担を2兆元弱軽減する。増値税(付加価値税)の税率を製造業などは16%から13%に、建設業などは10%から9%に引き下げる。地方のインフラ建設も増やし、地方政府がインフラ建設に充てる債券の発行額を2018年から8000億元増やして2兆1500億元とする。


【ブラジル】
2019年12月3日、7-9月の実質GDP成長率を1.2%と発表した。家計消費は0.8%増。9月から勤続年数補償基金と呼ばれる退職金や失業保険に相当する資金を前倒しで引き出せるようにしたことなどが下支えした。設備投資や固定資本形成は2%増。輸出は2.8%減。アルゼンチンの通貨危機や1月に発生した鉱山ダムの事故、輸出全体の3割を占める中国向けが失速していることなどが影響した。

2019年8月29日、4-6月の実質GDP成長率を1%と発表した。設備投資など固定資本形成は3.2%増。家計消費は0.3%増。輸出は1.6%減。アルゼンチン向け工業品輸出の減少や豚コレラの影響で中国向け大豆輸出も減少した。

2019年5月30日、1-3月の実質GDP成長率を0.5%と発表した。設備投資など固定資本形成は1.7%減。輸出は1.9%減。主要輸出先のアルゼンチンの通貨危機や資源大手ヴァーレの保有する鉱山ダムの決壊事故に伴う鉄鉱石減産などが影響した。家計支出は0.3%増だった。

■2019年5月30日、2019年の実質GDP成長率見通しを2.2%から1.6%に下方修正した。


【トルコ】
2019年12月2日、7-9月期の実質GDP成長率0.9%増と発表した。個人消費は1.5%増。政府・民間投資は12.6%減。公共工事の延期や凍結が相次ぎ、企業活動が停滞した。

2019年9月2日、4-6月の実質GDP成長率を1.5%減と発表した。GDPの6割を占める個人消費は1.1%減。インフレ率が15%超で推移。所得増を上回り消費が低迷した。政府・民間投資は22.8%減。建設業などが低迷。通貨安とインフレ対応による大幅利上げで、投資と生産活動が鈍化した。

 


【インド】
2019年8月30日、4-6月の実質GDP成長率を5%と発表した。米中貿易摩擦による世界経済の低迷が影響し、消費と輸出が急速に落ち込んだ。GDPの6割を占める個人消費は3.1%増。賃金の伸び悩みや失業率の高まりが影響。新車販売は7月に30%に落ち込んだ。輸出は5.7%増。自動車産業では雇用削減の動きも見られる。

自動車ローンなどを扱う金融機関の貸し渋りも見られることから、18ある国営銀行のうち10行を4行に集約する。

■2019年10月4日、インド中銀は2019年のGDP成長率予想を6.9%から6.1%に下方修正した。


【タイ】
2019年11月18日、7-9月の実質GDP成長率を2.4%と発表した。GDPの5割を占める個人消費は4.2%増。輸出不振で製造業の賃金が減り、消費が伸び悩んだ。GDPの2割を占める政府支出は1.8%増。

2019年8月19日、4-6月の実質GDP成長率を2.3%と発表した。中国など主要貿易相手国への輸出が減少。新車販売台数も減少した。

■2019年8月19日、2019年の成長率予測を3.3%~3.8%から2.7%~3.2%に下方修正した。


【マレーシア】
7-9月の実質GDP成長率は4.4%となった。中国や東南アジア向けの輸出が低迷した。

4-6月期の実質GDP成長率は4.9%。個人消費が7.8%増と好調だった。



【インドネシア】
2019年11月5日、7-9月期の実質GDP成長率を5.02%と発表した。世界景気の悪化懸念から資源価格が下落し、石炭やパーム油などに悪影響が広がりつつある。


■2019年8月16日、ジェコ大統領は2020年の実質GDP成長率目標を5.3%と発表した。首都移転やインフラ建設推進などで堅調な経済成長を続ける。MRT(大量高速輸送システム)、高速道路網、海上交通網などの整備に注力する。



【シンガポール】
4-6月の実質GDP成長率は0.1%。半導体関連産業が低迷。集積回路やディスクの輸出が減少した。

2019年4月12日、1-3月の実質GDP成長率を1.3%と発表した。製造業が中国経済の減速でマイナスに転じた。


【フィリピン】
2019年11月7日、7-9月期の実質GDP成長率を6.2%と発表した。2019年度の予算案が4カ月遅れで4月に成立し執行されたことから、インフラ関連の公共支出が伸びて拡大した。

4-6月の実質GDP成長率は5.5%となった。インフラ投資が伸び悩み。政府支出は6.9%増。エルニーニョ現象で水不足が続き、消費者心理が冷え込んだ。

1-3月の実質GDP成長率は5.6%となった。政府支出は7.4%。2019年度の予算成立が本来より4カ月遅れの4月末に成立したため、インフラ関連の支出に遅れが出た。2019年度予算案の一部項目が特定の議員に有利になっているなどとして議会議論が紛糾したことが影響した。GDPの7割を占める個人消費は6.3%

フィリピンはGDPの70%を占める個人消費を世界各国で働く出稼ぎ労働者からの送金やサービス産業の発展により下支えしている。また、海外出稼ぎ労働者からの送金はGDPの10%に相当する。フィリピン政府は、2017年度から2022年度にかけて、インフラ整備に17兆円~18兆円を充て、年率7~8%の高成長を目指す。