機器を専用の装置に近づけるだけで充電が可能になる「ワイヤレス給電」が今後伸びる見通し。米調査会社IHSは、ワイヤレス給電に対応する機器の世界出荷台数が2025年に2015年比14倍の28億台に増えると予測している。国際規格の統一など課題を乗り越えれば、給電のワイヤレス化が進む見通し。

ルネサスエレクトロニクスは、ワイヤレス給電用の小型半導体を開発。ウエアラブル端末や補聴器への搭載を想定し、2016年11月からサンプル出荷を開始する。住友電気工業は、ワイヤレス給電モジュールのサンプル出荷を2014年8月から開始。2015年春に量産を開始する計画。ロームは、2015年にワイヤレス給電用ICを開発。2015年12月から量産。充電開始や異物混入通知など充電以外の機能を拡充している。東芝は、出力15ワットで給電できるワイヤレス給電用ICを開発。2016年春から出荷を開始した。

また、日産自動車は、電気自動車(EV)向けワイヤレス給電システムを開発。TDKは、ワイヤレス給電システムを2015年上期から自動車メーカーなどに向けサンプル提供を開始。EVの走行中の給電に関しても実証実験を開始した。まずは無人搬送機(AGV)向けの販売を強化。EV、PHV向けの実用化は2018年頃になる見通し。京都大学は、送電器と受信器が接触しなくても充電できるマイクロ波方式の研究をおこなっている。


ワイヤレス給電 関連企業・機関の動き

企業・機関 内容
日本精工 走行中のEVにワイヤレスで電気を送る技術を開発
東洋電機製造
ルネサスエレクトロ ワイヤレス給電用の小型半導体を開発。2016年11月からサンプル出荷
住友電気工業 ワイヤレス給電モジュール。2014年8月からサンプル出荷。2015年春に量産開始
ローム 2015年にワイヤレス給電用ICを発表。2015年12月から量産。充電開始や異物混入通知など充電以外の機能を拡充
東芝 出力15ワットで給電できるワイヤレス給電用ICを開発。2016年春から出荷を開始
日産自動車 EV向けワイヤレス給電システムを開発
TDK EV、PHV向けワイヤレス給電システム。実用化は2018年頃
京都大学 送電器と受電器が接触しなくても充電できるマイクロ波方式を研究


【日本精工 東洋電機製造】
日本精工と東洋電機製造、東京大学藤本博志教授らは、2017年4月、走行中の電気自動車(EV)にワイヤレスで電気を送る技術を開発したと発表。道路に敷設した送電用コイルから車輪に埋め込まれた受電用コイルに磁気を介して電気を送電。ケーブルをつないで充電せずに済む。交差点や高速道路などの一部に送電コイルを設置すれば、走行しながら充電でき、走行距離を大幅に伸ばせるという。

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