2016年の各国のGDP推移一覧。各国の見通しや推移、発表内容などをまとめ。


2016年 各国のGDP推移

2015年 見通し 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 2016年
日本(前期比) 0.4% 1.7% 0.5% 0.2% 0.3% 0.2%  
米国(年率換算) 2.4% 2.4% 1.1% 1.4% 3.5% 2.1% 1.6%
EU 1.5% 1.7% 1.6% 1.6% 1.6% 1.8%  
英国 2% 2.2% 2.1% 2.2% 2.3% 2.2% 1.8%
ロシア ▲3.7% ▲1.3~▲1.5% ▲1.2%        
オーストラリア     3.1% 3.3% 1.8% 2.4%  
韓国 2.6% 2.8%→2.7% 2.7% 3.2% 2.7% 2.3% 2.7%
台湾 0.85% 1.22%→1.35% ▲0.84% 0.69% 2.06% 2.58% 1.4%
中国 6.9% 6.9% 6.7% 6.7% 6.7% 6.8% 6.7%
ブラジル ▲3.7% ▲3.5% ▲5.4% ▲3.8% ▲2.9% ▲2.5% ▲3.6%
トルコ 4% 4.5% 4.8% 3.1% ▲1.8% 3.5% 2.9%
インド 7.6% 8%以上 7.9% 7.1% 7.4% 7% 7.1%
インドネシア 4.79% 5.3%→5% 4.92% 5.18% 5.02% 4.94% 5%
タイ 2.8% 2.8%~3.8% 3.2% 3.5% 3.2% 3.2% 3.2%
マレーシア 5% 4~4.5% 4.2% 4% 4.3% 4.5% 4.2%
シンガポール 2% 1~2%→1.5% 1.8% 2.2% 1.2% 2.9% 2%
フィリピン 5.8% 6% 6.9% 7% 7.1% 6.6% 6.8%


発表内容

【日本 内閣府】
2017年2月13日、10-12月期の実質GDP成長率の速報値を0.24%、年率換算で1%と発表した。個人消費は0.01%減。飲食サービスやパソコンへの支出は増えたが、天候不順による生鮮野菜の価格高騰や衣料の販売減が影響した。住宅投資は0.2%増。相続税対策の一環で急増したアパートなどの貸家建設が一服しつつある。設備投資は0.9%増。ソフトウエアや通信機器が伸びた。輸出は2.6%増。米国や中国への自動車輸出が牽引。中国のスマートフォン部品の需要が増え、半導体など電子部品が増加。訪日外国人の消費も増えた。輸入は1.3%増だった。公共工事は1.8%減。経済対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算の効果は、2017年1-3月以降の成長率を押し上げるとみられる。

  2015年 2016年
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
実質GDP 1.0% ▲0.3% 0.3% ▲0.3% 0.5% 0.2% 0.3% 0.2%
GDP年率換算 3.9% ▲1.2% 1.0% ▲1.1% 1.9% 0.7% 1.3% 1%
個人消費 0.4% ▲0.7% 0.4% ▲0.9% 0.6% 0.2% 0.3% ▲0.01%
住宅投資 1.7% 1.9% 2.0% ▲1.2% ▲0.7% 5% 2.6% 0.2%
設備投資 2.7% ▲0.9% 0.6% 1.5% ▲0.7% ▲0.1% ▲0.4% 0.9%
輸出 2.4% ▲4.4% 2.7% ▲0.8% 0.6% ▲1.5% 1.6% 2.6%
輸入 2.9% ▲2.6% 1.7% ▲1.4% ▲0.4% ▲0.1% ▲0.4% 1.3%


【米国 商務省】
2017年1月27日、2016年の実質GDP成長率を1.6%と発表した。GDPの70%を占める個人消費は、1-3月は年明けに起きた株安の影響で低調も、4-6月はガソリン安や低金利が家計を後押し。7-9月は自動車などの耐久財が好調も、衣服など非耐久財が不調に推移。10-12月はサービス部門が減速するも、物消費が好調だった。

設備投資は、年前半は資源安で原油などエネルギー部門の投資が縮小。英国のEU離脱問題などで、製造業の運輸部門で低迷するも、後半は原油価格の下げ止まりで資源関連投資が増加。企業の研究開発投資も増えた。

住宅投資は、1-3月は低金利が下支えし好調も、4月以降は減速。10-12月期にプラスに転じた。輸出は、7-9月は穀物産地の南米で天候不順により農産物輸出が大幅に伸びるも、10-12月はその反動で減少。大統領選後のドル高なども影響した。

  2015年 2016年
  1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
個人消費 1.8% 3.1% 3% 2.4% 1.5% 4.2% 2.8% 2.5%
設備投資 ▲2.8% 3.2% 2.4% ▲2.1% ▲4.5% ▲2.2% 1.2% 2.4%
住宅投資 5.0% 7.8% 7.3% 10.1% 15.6% ▲6.1% ▲6.2% 10.2%
輸出 ▲7.6% 5.2% 1.9% ▲2% 0.3% 1.4% 10.1% ▲4.3%


【EU 統計局】
2017年1月31日、10-12月期の実質GDP成長率を1.8%、年率換算を2%と発表した。4-6月に南欧の銀行などの不良債権問題が浮上したことや英国のEU離脱決定による不透明感、10-12月にはイタリアの金融不安再燃などがあったが、原油安や主要国の歳出拡大、ECBによる量的緩和を下支えに、景況感が改善している。

牽引役のドイツでは、失業率の低下により労働市場の引き締まりで賃金に上昇圧力がかかり、実質賃金が上昇。個人消費が底堅く推移している。

なお、ドイツとイタリアのGDPはユーロ圏経済の45%を占めている。


【英国 統計局】
2017年2月22日、2016年の実質GDP成長率を1.8%と発表した。GDPの約80%を占めるサービス業は、家計消費の力強さを背景に小売業やホテル、レストランなどが好調だった。EU離脱決定後の通貨ポンド安を受け、海外旅行客の観光需要なども消費を押し上げた。製造業は、ポンド安で自動車や医療など輸出企業が好調。4-6月期は内需増加を受けて鉄鋼業生産も伸びたが、7-9月期は輸入コストも上昇した。建設業は、企業が設備投資に慎重であることや不動産需要への不透明感が強まっている。また、ポンド安でインフレが加速する兆しもある。

英国は2016年6月23日に実施された国民投票でEU離脱を決定している。メイ英首相は、EUの単一市場からの離脱を明言。英政府は2017年3月末を期限にEU離脱の意思を通告する考え。

2016年11月23日、英ハモンド財務省は「EU離脱に向けた不確実性の高まりやポンド安による物価上昇が今後の企業投資や個人消費の重荷になる」とし、2017年の成長率を2.2%から1.4%に下方修正した。また、政府は今後5年間の経済成長率を2.4ポイント押し下げ、政府債務が従来予想より約1200億ポンド(約16兆円)増えると試算している。2020年までに財政を黒字化する目標を取り下げ、2025年までの達成を目指すとした。


【ロシア 統計局】
2016年5月16日、1-3月期の実質GDP成長率を1.2%減と発表した。原油価格の下落やウクライナを巡る欧米からの制裁により国内外からの企業投資が低迷。通貨ルーブルの下落や高インフレによる個人消費の落ち込みが経済に影響を与えている。


【オーストラリア 統計局】
2017年3月1日、10-12月期の実質GDP成長率を2.4%と発表した。商品価格の回復で資源輸出が伸びた。7-9月期は悪天候の影響や7月の総選挙に伴う不透明感が経済活動を停滞させるも、10-12月期は商品価格の回復で資源輸出が伸びた。

オーストラリアの輸出は34%が中国向けとなっている。また、オーストラリアの潜在成長率は3.2%水準とされている。
 

【韓国 韓国銀行】
2017年1月25日、2016年の実質GDP成長率を2.7%と発表した。GDPの40%を占める民間消費は2.4%増。1-3月期は2015年秋に政府主導の消費刺激策を実施した反動で減少するも、4-6月期は特定品目の消費税を一時的に引き下げた効果から自動車購入が増加。7-9月期は6月に消費税引き下げ措置が縮小し、自動車購入が減速した。また、サムスン電子の新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の生産・販売中止が影響した。

建設投資は11%増。金融緩和の影響などからマンションの分譲が高水準で推移するも、10-12月は不動産景気の悪化などに伴いマイナスに転じた。輸出は1.4%増。半導体や化学製品が増えるも、現代自動車のストライキの影響から減少した。設備投資は2.4%減。世界景気の低迷で造船などの企業を中心に投資意欲が後退した。

2017年の実質GDP成長率は2%台となる見通し。接待を規制する新法の施行で経済損失は約1兆円と試算されており消費が減少。造船など構造不況業種では人員や生産能力縮小などリストラが本格化する見通しで、設備投資や輸出の停滞が見込まれる。

韓国の潜在成長率は3~3.2%とされている。

■2017年1月13日、韓国銀行は2017年の経済成長率見通しを2.5%と発表した。造船など主力産業でのリストラなどで、雇用環境が悪化。民間消費が従来の見通しを下回る。

■2016年12月29日、韓国企画財務省は2017年の実質経済成長率見通しを3%から2.6%に引き下げた。原油価格の上昇や造船など不振による雇用悪化の影響で消費が弱まる見通し。

■2016年7月14日、2016年の経済成長率見通しを2.8%から2.7%に引き下げた。造船など不振業種の構造調整や英国のEU離脱決定の影響で設備投資が低迷。好調が続いてきた建設投資も住宅供給が一巡しつつあるため、予想を下回る。


【台湾 統計局】
2017年1月25日、2016年の実質GDP成長率を1.4%と発表した。GDPの約70%を占める輸出が中低価格のスマートフォン需要を取り込む半導体産業の復調で牽引している。7-9月期は中国向けが全体の40.5%を占めた。投資や在庫を含む資本形成は、半導体などの需要増を受け製造業が増産投資を積極化した。

スマートフォン市場では、中国の供給網の自主化で中国企業との競争が激化している。

台湾の輸出はGDPの約70%を占めている。また、輸出額の40%をIT関連が占めている。なお、台湾の潜在的GDP成長率は約3%と見られている。

■台湾行政院は、2017年2月15日、2017年の実質GDP成長率の見通しを1.92%と発表した。半導体などIT関連の輸出が好調。民間投資や消費も復調しつつある。

■台湾行政院は、2016年11月26日、2016年の実質GDP成長率を1.22%から1.35%に上方修正した。半導体を中心に電子部品の輸出が伸び、民間投資が増えた。

■台湾行政院は、2016年8月19日、2016年の実質GDP成長率を1.06%から1.22%に上方修正した。上半期の輸出と消費が想定より若干上昇。下半期には新型電子機器への需要拡大を背景に、輸出が徐々に勢いを取り戻すとしている。

■台湾行政院は、2016年5月27日、2016年の実質GDP成長率を1.47%から1.06%に下方修正した。輸出の約40%を占める中国向けが落ち込み。民間投資の低迷も長引く。技術力を高める中国企業との競争も激化する。


【中国 国家統計局】
2017年1月20日、2016年の実質GDP成長率を6.7%増と発表した。工場や建物への固定資産投資は8.1%増。製造業を中心に民間投資が鈍化。中国政府によるインフラ投資などの財政出動や地方の住宅購入規制の緩和など公共投資や補助金、減税などの政策に頼る。工業生産は6%増。2016年末までの小型車減税をにらんだ駆け込み需要で自動車の生産が好調。過剰生産を抱えた鉄鋼や石炭などを中心に減産圧力が強まった。社会消費小売りは10.4%増。自動車で小型車やエコカー向けの減税、補助金で底堅く推移。インターネットによる販売も好調に推移した。

2017年の経済成長の目標は6.5%前後とする方針。

サービス業など第3次産業のGDPに占める割合が54%と製造業など第2次産業の39%を上回り、産業構造も変わりつつある。

■統計局は、2016年1-6月期の発表からGDP算出方法を国際基準に合わせる形で見直し。GDPに加算しなかった企業の研究開発費を含めるように改めた。統計局は改定により「1-6月期の成長率を0.02ポイント押し上げた」としている。

  2015年 2016年
1-3月 1-6月 1-9月 1-12月
実質GDP成長率 6.9% 6.7% 6.7% 6.7% 6.7%
固定資産投資 10% 10.7% 9% 8.2% 8.1%
工業生産 6.1% 5.8% 6% 6% 6%
社会消費小売り 10.7% 10.3% 10.3% 10.4% 10.4%
輸出   ▲9.6 ▲7.7% ▲7.5% ▲7.7%


【ブラジル 地理統計院】
2017年3月7日、2016年の実質GDP成長率を3.6%減と発表した。家計消費は4.2%減。企業の人員削減や高インフレに伴う実質所得の減少などから消費が低迷した。設備投資など固定資本形成は10.2%減。資源安や政府の歳出抑制などから投資が低迷。資源大手のペトロブラスやヴァーレなど国内有力企業が投資を抑制した。


【トルコ 統計局】
2017年3月31日、2016年の実質GDP成長率を2.9%と発表した。7月のクーデター未遂事件とその後の反政府勢力の弾圧で、経済の先行き不透明感が強まっている。GDPの70%を占める個人消費は、ロシアとの関係悪化やテロの増加により外国人観光客が減少し落ち込み。政府支出を増やし、公共支出拡大で景気の下支えを図るも、消費や民間投資の低迷を埋めきれなかった。

トルコでは政府・中銀が経常赤字の削減に動けば景気が減速する経済構造問題を抱えている。輸出先の40%をEUが占める輸出産業を振興し、内外の成長をバランス良く取り込む体質に改善することが課題となっている。なお、トルコの潜在成長率は4%台半ばとみられている。トルコ政府は2016年は4.5%、2017年は5%を目標にしている。


【インド 統計局】
2017年5月31日、2016年度の実質GDP成長率を7.1%と発表した。GDPの約60%を占める個人消費は9%増と全体を牽引。官民の設備投資は2%と伸び悩んだ。不良債権が積み上がり現行が貸し渋る一方、製造業は設備稼働率が低迷し伸び悩んだ。

なお、インドの潜在成長率は7%とされている。

インドでは2016年11月上旬から高額紙幣が廃止。紙幣の供給不足から消費者が買い控えに動いている。紙幣が庶民に行き渡り、経済が正常化するのに約6ヶ月かかる見通し。また、米大統領選後のドル高でルピーが下落。原油価格の上昇もあり、輸入コストの上昇でインフレ加速が懸念される。

■インド統計局は、2017年1月6日、2016年度の実質GDP成長率が7.1%になると予測した。個人消費は6.5%増、官民の設備投資は0.2%減とした。高額紙幣廃止の影響は織り込まなかった。


【インドネシア 中央統計局】
2017年2月6日、2016年の実質GDP成長率を5%と発表した。GDPの約60%を占める個人消費は5%増と堅調。4月以降から自動車販売が持ち直し、販売台数は5%増。不動産販売も持ち直した。GDPの10%を占める政府支出は、4-6月は6.28%増とジェコ政権がかかげるインフラ計画が進みはじめたが、7-9月は2.97%減とインフラ計画が思うように進まず低迷。10-12月はさらに減少幅が広がり、財政赤字を防ぐために支出を削減した。

インドネシア政府は、慢性的な税収不足に悩む。2016年度の歳出を大幅に見直し。また、7月中旬に国内外で未申請だった資産を申告して資産額の2~5%を納税すれば、追徴課税や刑事訴追を免除する「租税特赦」制度を開始。この制度による税収増も追い風にして、インフラ開発を進める。

ジェコ大統領は、インフラ投資を進めて企業業績が回復すれば、賃金上昇を通じてGDPの60%を占める個人消費が伸び、成長が加速するとしている。なお、インドネシアは産油国ながら石油の純輸入国であるため、原油価格の下落が財政や国民消費で追い風になる。

政府は2017年の実質GDP成長率は5.1%に設定している。


■2016年10月、スリ・ムルヤニ財務相は2016年通年の成長率見通しを5.2%から5%に下方修正するとしている。


【タイ 国家経済社会庁(NESDB)】
2017年2月20日、2016年の実質GDP成長率を3.2%と発表した。GDPの20%を占める観光業では、8月11日~12日にタイ各地で起きた連続爆発事件が影響するも、好調に推移した。牽引役の輸出は、通貨バーツ高や中国の景気減速などで天然ガスや農産品のほか、トラックや化学品などの工業製品が低迷する。民間支出は干ばつが収束し、農家所得が改善。消費に回った。タイでは2016年10月にプミポン前国王が死去し、1年間の喪服期間に入っているが影響は限定的となっている。

2017年の成長率は3~4%との見通しを示した。輸出や政府のインフラ投資の拡大に期待しつつも、欧米や中国経済の先行き不透明感を懸念材料にあげた。

なお、タイの潜在成長率は年5%とされている。また、GDPの80%水準に上る家計債務の高止まりがある。


【マレーシア 中央銀行】
2017年2月16日、2016年の実質GDP成長率を4.2%と発表した。民間消費が堅調。1-3月は5.3%、4-6月は6.3%、7-9月は6.4%、10-12月は6.2%増だった。2015年4月に導入された6%の消費税導入や資源関連企業による雇用調整で消費者心理が悪化したものの、底堅く推移した。農業は5.1%減。資源安や天候不順で原油やパーム油の生産量が落ち込んだ。

マレーシア通貨リンギは、景気の低迷や米国の利上げ、中国景気の減速に伴う投資マネーの逆流で安値で推移。通貨当局はリンギ防衛のためにドル売り介入を続けているもよう。原資となる外貨準備高は2015年7月時点で967億ドル。2014年7月の1318億ドルから27%減少した。


【シンガポール 通産省】
2017年2月17日、2016年の実質GDP成長率を2%と発表した。製造業が3.6%増と2015年のマイナス成長から持ち直したことが寄与した。

■2016年11月24日、2017年の経済成長率見通しを1~3%になると発表した。中国の景気減速、英国のEU離脱、高まる国際情勢の不透明さなどで企業の投資意欲が低下。世界貿易を押し下げる可能性があるとした。また、2016年の経済成長率見通しを2%から1.5%に下方修正。原油価格の下落で石油採掘装置(リグ)製造など油田開発に関連する企業が多く、世界の資源投資縮小で打撃。

■2016年8月11日、2016年の経済成長率見通しを1~3%から1~2%に下方修正した。英国のEU離脱決定や中国景気の減速など世界経済の不透明感から、外需依存度が高いシンガポールの景気に影響を及ぼすとしている。


【フィリピン 統計局】
2017年1月26日、2016年の実質GDP成長率を6.8%と発表した。GDPの70%を占める民間消費が好調。ペソ安が進み、海外で働く出稼ぎ労働者からの送金が増加。ペソでの手取りが増え、国内消費を押し上げた。コールセンターなどの業務受託産業の発展で所得水準が上がった。5月の大統領選挙前の官民の支出が増えたことも寄与した。

政府は積極的なインフラ投資で高成長を維持する考え。一方、出稼ぎ労働者の30%が米国で働き、業務受託産業の顧客企業が集まる。米国の保護主義政策が経済を下押しする可能性もある。

フィリピンはGDPの70%を占める個人消費を世界各国で働く出稼ぎ労働者からの送金やサービス産業の発展により下支えしている。また、海外出稼ぎ労働者からの送金はGDPの10%に相当する。