2015年の各国のGDP推移一覧。各国の見通しや推移、発表内容などをまとめ。


2015年 各国のGDP推移

2014年 見通し 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 2015年
日本(前期比) 0% 1.5% 1.0% ▲0.3% 0.3% ▲0.3% 0.4%
米国(年率換算) 2.4% 3% 0.6% 3.7% 2.1% 1.4% 2.4%
EU 0.9% 1~1.5% 1.0% 1.2% 1.6% 1.5% 1.5%
英国 2.6% 2.9% 2.4% 2.6% 2.3% 2.1% 2.3%
ロシア 0.6% ▲3.2% ▲1.9% ▲4.6% ▲4.1% ▲3.8% ▲3.7%
オーストラリア   2.75~4.5% 2.3% 2% 2.5% 3%  
韓国 3.3% 2.7% 2.4% 2.2% 2.6% 3% 2.6%
台湾 3.74% 1.06% 3.46% 0.64% ▲1.01% ▲0.28% 0.85%
中国 7.3% 7% 7% 7% 6.9% 6.8% 6.9%
ブラジル   ▲1.2% ▲1.6% ▲2.6% ▲4.5% ▲5.9% ▲3.8%
トルコ 2.9% 4% 2.5% 3.8% 4% 5.7% 4%
インド 7.3% 8~8.5% 7.5% 7.0% 7.4% 7.3% 7.6%
インドネシア 5.02%   4.71% 4.67% 4.73% 5.04% 4.79%
タイ 0.7% 2.9% 3% 2.8% 2.9% 2.8% 2.8%
マレーシア 6%   5.6% 4.9% 4.7% 4.5% 5%
シンガポール 2.9% 2~2.5% 2.8% 1.8% 1.9% 1.8% 2%
フィリピン 6.1% 7~8% 5.2% 5.6% 6% 6.3% 5.8%


発表内容

【日本 内閣府】
2016年3月8日、2015年の実質GDP成長率を0.4%と発表した。個人消費は年初は株高や賃上げ期待で消費税増税後の反動から回復傾向も、円安による物価上昇に伸びが追いつかず、消費者心理が冷え込んだ。テレビなどの家電製品や自動車などの販売が減少。夏場は猛暑でエアコンや衣料品が好調も、冬場は暖冬で暖房器具や冬物衣料が不調だった。

設備投資は年初は円安や原油安を追い風に企業業績が上向きプラスに転換。8月の中国発の世界同時株安などをきっかけに、設備投資の実行の見送りの動きが出た。賃貸ビルや倉庫など不動産やサービス、運輸業の投資が増えた。輸出は中国など新興国経済の減速が影響。輸入は電子機器や原油、鉄鉱石などが減少した。


【米国 商務省】
2016年1月29日、2015年の実質GDP成長率を2.4%と発表した。GDPの70%を占める個人消費は底堅く推移するも、10-12月期に暖冬で衣料品の売れ行きが鈍ったほか、車・家電など長く使う耐久財の消費が減少した。設備投資は原油安でエネルギー関連の投資が落ち込んだ。住宅投資は低金利が下支えし好調に推移した。輸出は新興国の減速とドル高の影響で減少。中南米を中心に減少した。

10-12月期の確定値は年率換算で1.4%。民間消費が2%から2.4%、住宅投資が8%から10.1%、輸出が▲2.7%から▲2.1%に上方修正。一方、設備投資は▲1.9%から▲2.1%に下方修正された。

10-12月期の改定値は年率換算で1%。在庫調整による成長率の押し下げ効果が0.14%にとどまり、上方修正された。

10-12月期の速報値は年率換算0.7%。新興国の減速とドル高の影響で輸出が2.5%減。原油安でエネルギー関連の投資が落ち込み、設備投資は1.8%減少した。GDPの70%を占める個人消費は2.2%増。暖冬で衣料品の売れ行きが鈍ったほか、車・家電など長く使う耐久財の消費も減少した。

  1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
個人消費 1.8% 3.1% 3% 2.4%
設備投資 ▲2.8% 3.2% 2.4% ▲2.1%
住宅投資 5.0% 7.8% 7.3% 10.1%
輸出 ▲7.6% 5.2% 1.9% ▲2%


【EU 統計局】
2016年2月12日、2015年の実質GDP成長率を1.5%と発表した。ユーロ圏の景気は緩やかながら回復を続けている。原油安でガソリン価格が下がり消費意欲が上昇。ユーロ安で輸出企業の業績を押し上げ、雇用の改善や賃金が上昇した。欧州委員会は2016年の成長率見通しは1.8%から1.7%、インフレ率も0.5%に下方修正した。

10-12月期の実質GDP成長率は前年比1.5%、年率換算で1.1%。11月のパリ同時テロの影響で消費が伸び悩み。暖冬で燃料の購入が抑えられた。

前期比 2014年 2015年
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
ドイツ 0.8% ▲0.2% 0.1% 0.7% 0.3% 0.4% 0.3% 0.3%
フランス 0% ▲0.2% 0.3% 0.1% 0.7% 0% 0.3% 0.2%
イタリア ▲0.1% ▲0.2% ▲0.1% 0% 0.2% 0.3% 0.2% 0.1%


【英国 統計局】
2016年3月31日、2015年の実質GDP成長率を2.3%と発表した。GDPの約79%を占めるサービス業が好調。賃金上昇や9月から開催されたラグビーワールドカップが消費を押し上げに寄与した。一方、通貨ポンドの上昇や中国などの需要減少から製造業や建設業、不動産投資は減退した。


【ロシア 統計局】
2016年1月25日、2015年の実質GDP成長率の速報値を3.7%減と発表した。原油価格の下落やウクライナを巡る欧米からの制裁により国内外からの企業投資が低迷。通貨ルーブルの下落、高インフレによる個人消費の落ち込みが経済に影響を与えている。


【オーストラリア 統計局】
2016年3月2日、10-12月の実質GDP成長率を3%と発表した。個人消費がGDPを下支え。個人消費は0.8%、輸出は0.6%だった。

オーストラリアの輸出は34%が中国向けとなっている。また、オーストラリアの潜在成長率は3.2%水準とされている。

■2015年12月15日、オーストラリア政府は実質GDP成長率の見通しを2.75%から2.5%に修正した。


【韓国 韓国銀行】
2016年1月26日、2015年の実質GDP成長率を2.6%と発表した。民間消費は2.1%増。中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大で落ち込んだ耐久財や飲食などサービス消費などが堅調に推移した。一方、好調だった住宅投資は期末に向けて減速。GDPの約40%を占める輸出は0.4%増。中国の景気減速による伸び悩みで、2014年の2.8%増から減速した。

韓国銀行は、2016年の成長率を3%と予想している。

■2016年4月19日、2016年の成長率見通しを3%から2.8%に、消費者物価指数見通しを1.4%から1.2%に下方修正した。世界景気の停滞による輸出低迷などで企業の設備投資意欲が減少。民間消費も見込みより鈍化している。

■2015年10月15日、2015年の経済成長率見通しを2.8%から2.7%に下方修正した。

■2015年7月9日、2015年の実質成長率見通しを3.1%から2.8%に下方修正した。中東呼吸器症候群(MERS)の発生による消費減や中国の景気鈍化などによる輸出減が影響する。

項目 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
民間消費 0.6% ▲0.3% 1.1% 1.5%
建設投資 7.5% 1.7% 4.5% ▲6.1%
輸出 0% 0.1% ▲0.2% 2.1%
設備投資 0%   2% 0.9%


【台湾 統計局】
2016年1月29日、2015年の実質GDP成長率は0.85%増だったと発表した。GDPの約70%を占める輸出は0.3%減。中国の景気減速によるスマートフォン市場の成長鈍化などから主力のIT関連輸出が低迷。スマートフォン用の半導体など電子部品の在庫調整が響いた。また鉄鋼や液晶パネルなどでも中国企業との競争が激化した。民間消費は2.33%増。飲食などが好調だった。民間投資など資本形成は1.01%増。半導体受託生産で世界最大手のTSMCの設備投資の下方修正などが影響した。

2016年の実質GDP成長率予想は1.47%としている。

台湾の輸出はGDPの約70%を占めている。また、輸出額の40%をIT関連が占めている。なお、台湾の潜在的GDP成長率は約3%とみられている。

■2015年11月27日、2015年の実質成長率見通しを1.56%から1.06%に下方修正した。IT関連を中心とする輸出の不振に加え、企業の設備投資も弱含む見通し。

■2015年8月14日、2015年の実質成長率見通しを3.28%から1.56%に下方修正。スマートフォンなど主力のIT関連輸出が落ち込む見通し。


【中国 国家統計局】
2016年1月19日、2015年の実質GDP成長率を6.9%と発表した。鉄鋼など主要製造業は需要を上回る生産能力を抱え、生産が鈍化。不動産では地方都市を中心に売れ残り在庫が増加し、新たな投資が減少した。

中国政府は景気の減速を防ぐため、2015年度中に8000億円以上を投じ、新たに8000キロ以上の鉄道の整備や、政策金融機関に3000億元(約5兆6000億円)の債権発行を特例で認め、地方のインフラ整備の加速に動いた。また、10月からは小型車の自動車取得税を2016年末まで半減させた。

中国人民銀行は、2016年の実質GDP成長率を6.9%と予測。設備過剰を抱える製造業の業績低迷や、不良債権の増加などが景気を下押しする一方、金融緩和などの政策効果が徐々に出てくるとしている。

  2014年 2015年
1-3月 1-6月 1-9月 10-12月
実質GDP成長率 7.4% 7% 7% 6.9% 6.8%
固定資産投資 15.7% 13.5% 11.4% 10.3% 10%
工業生産 8.3% 6.4% 6.3% 6.2% 6.1%
社会消費小売り 12% 10.6% 10.4% 10.5% 10.7%


【ブラジル 地理統計院】
2015年の実質GDP成長率は3.8%減だった。鉄鉱石などの資源や穀物価格の低迷で、投資や家計消費が減退した。家計消費は4%減。企業の人員削減や高インフレに伴う実質所得の減少などから消費が低迷。電気料金など公共料金の値上げに加え、通貨レアル安に伴う輸入品価格も上昇した。設備投資など固定資本形成は14.1%減。資源安が続いて投資が低迷。資源大手のペトロブラスやヴァーレなど国内有力企業が投資を抑制した。

2016年の実質成長率は3.5%減となる見通し。2016年8月のリオデジャネイロ五輪の景気押し上げ効果は限定的とみられる。ブラジルはインフレ対策に注力。中銀は利上げを続け、政府は歳出削減や増税を実施している。


【トルコ 統計局】
2016年3月31日、2015年の実質GDP成長率を4%と発表した。GDPの70%を占める家計最終消費支出は4.5%増。人口増加が続き、消費が好調に推移した。公共投資は7.6%増。原油価格の下落が政府の財政負担を和らげた。GDPの25%を占める輸出は8.7%減。輸出先の40%を占めるEU経済は回復傾向にあり、企業の生産活動が活発化した。一方、トルコによるロシア軍機撃墜事件を受け、ロシア向けの輸出が40%減った。

トルコでは政府・中銀が経常赤字の削減に動けば景気が減速する経済構造問題を抱えている。輸出先の40%をEUが占める輸出産業を振興し、内外の成長をバランス良く取り込む体質に改善することが課題となっている。なお、トルコの潜在成長率は4%台半ばとみられている。


【インド 統計局】
2016年5月31日、2015年の実質GDP成長率を7.6%と発表した。原油安などが追い風。GDPの約60%を占める個人消費は7.4%増。自動車販売の好調や家電需要が堅調に推移した。企業投資は低調だった。

インドの対中輸出は輸出総額の8%、GDPに占める割合は2%と対中輸出に頼る割合が低い。また、資源の純輸入国であることから新興国の中で経済が好調に推移している。インドの潜在成長率は8~8.5%とされている。


【インドネシア 中央統計局】
2016年2月5日、2015年の実質GDP成長率を4.79%と発表した。資源価格の低迷や中国の景気減速で、石油やパーム油など1次産品に依存する輸出が1.97%減。企業業績の悪化や物価上昇で家計消費の伸びが鈍化した。一方、7-9月期から公共投資が増加。政府がインフラ予算を執行し、増加し始めた。

2015年8月14日、インドネシアのジェコ大統領は2016年度の実質成長率を5.5%にするとした。インフラ開発予算を2015年度補正予算比で8%増の約2兆8000億円にするなど景気刺激を目指す。なお、インドネシアは産油国ながら石油の純輸入国であるため、原油価格の下落が財政や国民消費で追い風となる。


【タイ 国家経済社会庁(NESDB)】
2016年2月15日、2015年の実質GDP成長率を2.8%と発表した。観光などサービス業が好調。政府の投資・支出計画が成長を牽引し、輸出の落ち込みを補った。輸出は中国の景気減速などで天然ゴムなどの農産品のほか、トラックや化学品などの工業製品が低迷。民間消費は消費者心理の後退に加え、GDPの80%水準に上る家計債務の高止まりから振るわなかった。

2016年は2.8%~3.8%としている。また、タイの潜在成長率は年5%とされている。

■2016年2月15日、2016年のGDPを3~4%から2.8~3.8%に下方修正した。中国などの景気減速で輸出が下振れ。国内の民間投資も伸び悩む見通し。


【マレーシア 中央銀行】
2016年2月18日、2015年通年の実質GDP成長率を5%と発表した。資源安を背景に原油やパーム油の生産量が落ち込み。中国景気の減速に伴い、輸出総額の約10%を占める対中貿易も低迷している。民間消費は、2015年4月に導入された6%の消費税の影響で、家計の可処分所得が減少するも、海外からの投資が続き、予想以上に伸びた。

マレーシア通貨リンギは、景気の低迷や米国の利上げ、中国景気の減速に伴う投資マネーの逆流で安値で推移。通貨当局はリンギ防衛のためにドル売り介入を続けているもよう。原資となる外貨準備高は2015年7月時点で967億ドル。2014年7月の1318ドルから27%減少した。

■2016年1月28日、2016年の実質GDP成長率を4.5%から4~4.5%に下方修正した。原油価格の低迷で国営石油会社ペトロナスなど資源関連企業が減速する。


【シンガポール 通産省(MIT)】
2016年2月24日、2015年の実質GDP成長率を2%増と発表した。製造業は5.2%減。輸出関連や電子機器の製造が落ち込んだ。建設業は2.5%増。サービス業は3.4%増だった。最大の輸出先の1つである中国の成長鈍化で製造業が落ち込み。サービス業がシンガポール経済を下支えしている。2016年の成長率予想は1~3%としている。

MITは、2015年8月11日、2015年度の実質GDP成長率予測を2~4%から2~2.5%に下方修正。中国の景気減速や原油価格下落により、輸出産業や石油・ガス関連産業が停滞するリスクがあるとした。また、2014年10月14日、半期に1度の金融政策の見直しでは「緩やかで段階的な通貨上昇ペースを維持する」とした。労働力不足による人件費の上昇がインフレ要因になるとの懸念から、金融引き締めを継続する。

項目 内容
金融政策 緩やかで段階的な通貨上昇ペースを維持


【フィリピン 統計庁】
2015年1月28日、2015年の実質GDP成長率を5.8%と発表した。製造業などの工業部門と不動産、貿易などのサービス部門や、GDPの70%を占める個人消費などが堅調に推移。中国の減速を受けて伸び悩んだ輸出の穴を埋めた。

フィリピンではGDPの70%を占める個人消費を世界各国で働く出稼ぎ労働者からの送金やサービス産業の発展により下支えしている。また、海外出稼ぎ労働者からの送金はGDPの10%に相当する。