政府は人工知能(AI)を使った高精度の同時通訳システムを2020年の東京五輪・パラリンピックまでに実用化する計画で、2019年度までに100億円を投じる。スマートフォンのほか腕時計や小型スピーカーなどの活用を想定。観光地にある看板をスマホカメラで撮影するだけで、自動で他の言語の翻訳をして表示するアプリケーションの開発も同時に行うという。ビジネスや観光、医療で課題となる言葉の壁をなくす。

また、総務省と情報通信研究機構は、2020年度から自動通訳ソフトの開発を目指す。現在の自動翻訳ソフトは人が話終えてから訳すため、会話中に空白時間ができるが、会話途中で訳し始めるソフトの開発を目指す。日本語、英語、中国語など15言語に対応。2025年の実用化を目指す。


■AI翻訳 関連企業の動き

【ロゼッタ】
ロゼッタは、AIを使った機械翻訳を研究開発している。開発する「T-400」は、一般的な翻訳サイトに使われている翻訳エンジンとは異なり、専門分野ごとにAIを用いて翻訳エンジンを学習させることで、プロ翻訳者レベルの正確さを実現しているという。2000分野に細分化された専門分野のデータベースと、顧客が保有している文書で構築されたデータベースを組み合わせ、顧客向けにカスタマイズされた高精度の自動翻訳を提供する。2025年までに人間の翻訳者とほぼ同等の精度を持つ機械翻訳を完成させることを目標としている。

また、T400のAI翻訳技術を音声認識・合成技術と組み合わせ、ウエアラブル通訳デバイス「T-4PO」を開発する。


【ブロードバンドタワー】
ブロードバンドタワーは、国立大学法人豊橋技術大学、日本マイクロソフトと協働。東京五輪が開催される2020年までに様々な言語による情報をリアルタイムに提供する翻訳サービスをインターネット上の様々なサービスで活用可能にすることを目指している。

AI・機械学習を活用した事業構築のために、実際の社会インフラ、ビジネスへの導入を実施。東京都港区で地域共生社会の実現に向けたAI翻訳による情報発信の強化。コマツと建設機械を対象に関連文書を多言語化。株式会社ブリックスと通訳会社の通訳アプリ「ワンタイム通訳」を行っている。


【さくらインターネット】
さくらインターネットは国立研究機関のディープラーニング翻訳プロジェクト向け基盤を提供している。