IoTとは、パソコンやスマートフォンなどの情報機器だけでなく、家電や工場の設備、道路、自動車、歯ブラシなど社会・産業インフラや日用品まで様々なモノをインターネットに接続し、得られるデータを活用することをいう。機器から集まる膨大な情報のビッグデータを活用し、様々なサービスが生まれる可能性がある。

IDCジャパンは国内のIoT市場規模が2014年の9兆3645億円から2019年に16兆4221億円に、世界では2013年の1兆3000億ドルから2020年に3兆4000億ドルに拡大すると予測。米EMCは1年間に生成される世界のデータ量が2013年の4兆4000億ギガバイトから2020年に44兆ギガバイトと約10倍に拡大すると予測。そのうちIoTが占める割合は2013年の2%から2020年には10%になるとしている。

【日本】

  2014年 2019年
市場規模 9兆3645億円 16兆4221億円


【世界】

  2013年 2020年
市場規模 1兆3000億ドル 3兆4000億ドル
データ量 4兆4000ギガバイト 44兆ギガバイト
IoT割合 2% 10%


IoT関連銘柄の動き 

用途 コード 企業 内容
導入支援 6723 ルネサス 半導体とソフトウエア、通信を一括提供
- NECネッツ MVNOで企業のIoT導入を支援
データ収集・分析 6645 オムロン 工場制御部品全てにIoT
6501 日立製作所 自動車などでも使える超小型センサー
6502 東芝 米マイクロソフトとIoTソリューション
データ提供 - NTTコミュ 世界188カ国で利用
活用 6954 ファナック 米シスコと工場の故障を未然に防ぐ仕組み
8031 三井物産 米GEと鉱山運営でシステムを共同開発
9437 NTTドコモ 米GEとインフラの遠隔管理
6701 NEC 製造業向け生産向上システム
7732 トプコン 農場向け総合管理システム
6594 日本電産 日本IBMと早期異常検知や要因分析効率化システム
6770 アルプス電気 日本IBMと提携。生産性向上やインフラ監視サービス


【ルネサスエレクトロニクス】
半導体とソフトウエアを一括提供するサービス「ルネサス・シナジー・プラットフォーム」を始める。開始は2015年中。半導体とソフトウエアを別々に調達した場合、機能の検証作業に手間がかかる。双方を一括提供することで機器間で通信する際の不具合が発生しにくくなるという。

また、ルネサスは米ベライゾンと提携。ベライゾンの携帯通信網を活用することでIoT端末とデータセンター間の通信サービスも提供できるようにする。農場などで使うセンサー端末やバス、救急車など屋外の広範囲のエリアでの通信に対応できるという。


【NECネッツエスアイ】
ソフトウェアやセンサー、システムまで手がけ、企業のIoT導入を支援。NTTドコモなどの回線を借りて再販する仮想移動体通信事業者(MVNO)方式で提供。


【オムロン】
2020年までに工場制御に使う電源やスイッチなど約10万種類全ての部品に稼動状況のデータを収集して送信する機能を設けるもよう。電流や電圧、温度、モーター回転数などのデータを制御機器が自ら取得し、送信できるようにする。生産性が30%以上向上することを見込む。

今後開発する全ての部品のほか、既存製品にも順次通信機能を搭載するよう設計を変更する。


【日立製作所】
縦2.5ミリ、横2.5ミリの超小型センサーを開発。物体の表面に貼り付けると形状変化から部品にかかる圧力や振動など多様なデータを計測する。従来品はサイズが大きく自動車部品などへの搭載が難しかったが、小型化により利用できる範囲が大幅に広がる。

日立製作所は、2020年以降、年間100万個以上を販売し、500億円以上の売上高を目指す。


【東芝】
米マイクロソフトと提携。東芝のセンサーなどIoTデバイスとマイクロソフトのクラウドコンピューティングプラットフォームを連携させ、データを収集・分析。2015年度中に物流市場向けに提供を開始する計画。


【NTTコミュニケーションズ】
世界130拠点以上で展開するデータセンターで集めた情報を処理し、各国での情報保護規制などにも対応。世界188カ国で利用できるようにする。サービス開始は2016年度。ネットワーク技術データセンター設備などを提供し、システム開発会社などと組んでIoTシステムを顧客企業に提供する。


【ファナック】
米シスコ・システムズと工場の故障を未然に防ぐ仕組みを2016年夏に実用化するもよう。生産ラインのロボット1台1台にセンサーを取り付け、温度や振動などのデータを解析。修理が必要になりそうな部品や時期を割り出す。故障前に部品を交換できるため、予定外の設備停止を大幅に削減。稼働率を引き上げる。


【三井物産】
GEとIoTを活用した鉱山運営で提携。建機類の稼動を効率化し、省エネで運営できるシステムを共同開発。2016年をめどに豪州などの鉱山に導入。自社の鉱山コスト競争力を強化し、そのシステムを他の商社や資源メジャーに販売したい考え。

掘削現場での機器や運搬車両の稼働状況、物流施設、港湾、積み出し船の配置状況などのデータを収集し、掘削から積み出しまでの効率を改善する。また、ガスのパイプラインや燃料を供給するガスステーションなどのインフラ設備、機械・車両などにも各種センサーを取り付け、データを収集できるようにする。


【NTTドコモ】
米GEとインフラの遠隔管理を日本で共同展開。GEが水道やガス、送配電設備などにセンサーを設置し、NTTドコモの携帯回線を通じて振動や回転、温度など様々なデータを遠隔地から収集。集めたビッグデータを解析し、設備の破損を予測したり、保守コストを引き下げる。2016年にも電力やガス会社、地方自治体などに販売する。


【NEC】
IoTを活用したソリューションの提供を開始。工場内の設備や製品から収集するデータを分析し、製造現場の改善や新サービス実現につなげるシステムやカメラ映像で作業者の動きを分析し、生産性を向上するシステムなどを構築する。2015年~2018年までの4年間累計で売上高2000億円を目指す。


【トプコン】
IoTを駆使した農場向け総合管理システム。家畜や収穫物の重量を正確に計測する重量センサーや飼料、肥料の品質を測定する光学センサーなどを全ての農作業プロセスに導入。各ステップで計測されたデータをクラウドで収集し、管理する。


【日本電産】
日本IBMと共同開発。日本電産のモーターやプレス機と日本IBMのソフトウェア技術などを組み合わせ、早期異常検知による稼働率向上と要因分析効率化による停止期間の短縮を目指す。2015年中に海外プレス工場で異常発生時の要因分析の研究開発を開始。将来的に主力のモーターにシステムを搭載。同システムを搭載した機器の販売や保守事業の拡大を目指す。


【アルプス電気】
アルプス電気と日本IBMは、IoTで提携する。アルプス電気がセンサーモジュールで測定したデータを、日本IBMのクラウドサービスで分析・活用できる事業基盤を構築。生産性の向上やインフラ監視、介護サービスなどに役立てる仕組みを一括提供する。

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