日本政府は2016年度の実質GDP成長率の見通しを1.7%としている。雇用や所得の改善で個人消費は2%増。また、補正予算による押し上げ効果や2017年4月に予定する消費増税前の駆け込み需要が実質GDPを0.3%押し上げると想定する。法人税などの政策効果から設備投資は4.5%増。住宅投資は3.8%増。世界経済が米国主導で回復し、輸出は4.8%増。国内消費の膨らみで、輸入は5.2%増。


2016年 日本のGDP推移

  2015年 2016年
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 見通し 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
実質GDP 1.0% ▲0.3% 0.3% ▲0.3% 1.7% 0.5% 0.2% 0.3% 0.3%
GDP年率換算 3.9% ▲1.2% 1.0% ▲1.1% - 1.9% 0.7% 1.3% 1.2%
個人消費 0.4% ▲0.7% 0.4% ▲0.9% 2% 0.6% 0.2% 0.3% 0.04%
住宅投資 1.7% 1.9% 2.0% ▲1.2% 3.8% ▲0.7% 5% 2.6% 0.1%
設備投資 2.7% ▲0.9% 0.6% 1.5% 4.5% ▲0.7% ▲0.1% ▲0.4% 2%
輸出 2.4% ▲4.4% 2.7% ▲0.8% 4.8% 0.6% ▲1.5% 1.6% 2.6%
輸入 2.9% ▲2.6% 1.7% ▲1.4% 5.2% ▲0.4% ▲0.1% ▲0.4% 1.3%


【10-12月】
2017年3月8日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を0.3%増、年率換算で1.2%増と発表した。個人消費は0.01%減から0.04%増に上方修正。飲食業や自動車の売上が増えた。住宅投資は0.2%増から0.1%増に下方修正。設備投資は0.9%増から2%増に上方修正。電気機械器具製造業のほか不動産業、建設業、食品製造業で投資が増えた。公共投資は1.8%減から2.5%減に下方修正した。

2017年2月13日、10-12月期の実質GDP成長率の速報値を0.24%、年率換算で1%と発表した。個人消費は0.01%減。飲食サービスやパソコンへの支出は増えたが、天候不順による生鮮野菜の価格高騰や衣料の販売減が影響した。住宅投資は0.2%増。相続税対策の一環で急増したアパートなどの貸家建設が一服しつつある。設備投資は0.9%増。ソフトウエアや通信機器が伸びた。輸出は2.6%増。米国や中国への自動車輸出が牽引。中国のスマートフォン部品の需要が増え、半導体など電子部品が増加。訪日外国人の消費も増えた。輸入は1.3%増だった。公共工事は1.8%減。経済対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算の効果は、2017年1-3月以降の成長率を押し上げるとみられる。


【7-9月】
2016年12月8日、7-9月期の実質GDP成長率の改定値を0.3%、年率換算で1.3%と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.3%増。テレビや飲料、宿泊施設の利用が増えた。住宅投資は2.6%増だった。設備投資は0.4%減。不動産業や鉄鋼業、化学工業で減少した。

2016年11月14日、7-9月期の実質GDP成長率の速報値を0.54%、年率換算で2.2%と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.06%増。新型スマートフォンの販売が好調に推移した。台風など天候不順の影響で飲料やガソリン消費が落ち込んだ。住宅投資は2.3%増。日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利が下がったことが寄与した。設備投資は0.03%増。米欧の自動車市場が堅調な輸送機械は好調。農業機械やソフトウエアの新規投資は伸び悩んだ。輸出は2%増。iPhone7など新型スマートフォンの増産のため、半導体製造装置や電子部品が伸びた。訪日外国人消費も9.4%伸びた。輸入は0.6%減だった。


【4-6月】
2016年9月8日、4-6月期の実質GDP成長率の改定値を0.2%、年率換算で0.7%と発表した。設備投資が0.4%減から0.1%減に上方修正。卸売業や小売業、電機、建設などでは減少したが、不動産や鉄鋼では増えた。民間在庫投資は0.03%押し下げから0.1%押し上げ。自動車の製品在庫や基礎化学製品、電子通信機器の加工段階で企業が在庫を積み増した。

2016年8月15日、4-6月期の実質GDP成長率の速報値を0.04%、年率換算で0.2%と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.6%増。自動車やテレビの購入が押し上げた。一方、外食や余暇関連サービスは落ち込んだ。住宅投資は5%増。日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利が下がったことが寄与した。設備投資は0.4%減。世界経済の停滞や円高などで、企業が設備投資を様子見姿勢。工作機械などが伸び悩んだ。輸出は1.5%減。自動車は好調だったが、中国が安値攻勢をかける鉄鋼製品や石油製品が落ち込んだ。訪日外国人消費も3年ぶりに減少に転じた。輸入は0.1%減。医薬品や半導体製造装置などが振るわなかった。


【1-3月】
2016年6月8日、1-3月期の実質GDP成長率の改定値を0.5%、年率換算で1.9%と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.6%増。携帯電話や自動車の販売が上振れした。住宅投資は0.7%減に改善。設備投資は0.7%減。新車向けの生産能力を増強した輸送用機械が増加した。

2016年5月18日、1-3月期の実質GDP成長率の速報値を0.4%、年率換算で1.7%増と発表した。2月が例年より1日多いうるう年の効果で0.3ポイント押し上げられたとみられる。GDPの60%を占める個人消費は0.5%増。うるう年によって消費が押し上げ。外食など飲食サービスが増えた。住宅投資は0.8%減。価格の上昇などが響いた。設備投資は1.4%減。世界経済の減速懸念や円高などから、企業が投資を先送りする動きが出た。工作機械や電子通信機器、船舶など輸出関連で減少した。輸出は0.6%増。インバウンド需要が下支えした。輸入は0.5%減だった。