2019年発表の国際通貨基金(IMF)の世界全体の成長率見通し。発表数値の推移やIMFによる各国・地域の分析などのポイントを整理。


IMFの世界経済見通し 2019年発表

  2019年 2020年
発表月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月
世界全体 3.5 3.3     33.6 3.6    
米国 2.5 2.3     1.8 1.9    
日本 1.1 1     0.5 0.5    
ユーロ圏 1.6 1.3     1.7 1.5    
新興・途上国                
中国 6.2 6.3     6.2 6.1    
ブラジル 2.5 2.1     2.2 2.5    
ロシア 1.6       1.7      


【10月】
2019年10月15日、2019年の成長率を3.2%から3%、2020年を3.5%から3.4%に下方修正した。米中貿易摩擦を受けて世界的に貿易や投資が減速。「世界全体の90%の国・地域で経済が減速している」と指摘した。

中国は2019年が6.1%、2020年が5.8%に下方修正した。「企業と家計の債務が急増している」と金融面での不均衡にも警鐘をならした。

米国は2019年は2.6%から2.4%に下方修正した。企業投資などが弱含む。

 

【4月】
2019年4月9日、2019年の世界成長率見通しを3.5%から3.3%に下方修正した。米中貿易摩擦で世界的にサプライチェーンが混乱。英国のEU離脱問題も企業や投資家の心理を下押ししている。

日本は1%。消費増税を予定するが、IMFは安倍政権の内需喚起策から景気の大きな落ち込みを防げるとみている。米国は2.3%。大型減税の効果が薄れる2020年には潜在成長率並みの1.9%まで低下するとした。米中貿易摩擦の影響で輸出や設備投資が伸び悩んでいる。EUは1.3%。自動車分野の不振が続くドイツと債務リスクのあるイタリアが下方修正。EU離脱問題で混乱が続く英国の懸念もある。

2020年の世界成長率見通しは3.6%と発表した。米FRBが利上げを休止して金融市場が安定。中国の景気刺激策の効果が世界的に波及するとしている。


【1月】
2019年1月21日、2019年の世界成長率見通しを3.7%から3.5%に下方修正した。米国発の貿易摩擦や牛獄経済の減速が世界的に波及。欧州や産油国の成長率も下振れした。

日本は1.1%。安倍政権が検討する需要喚起策で、消費税増税の影響を一時的に緩和できると見込んだ。米国は2.5%に据え置き。EUは1.6%。ドイツは輸出が不振。排ガス規制の強化で国内の自動車販売が低迷した。