内閣府は、2016年3月8日、2015年の実質GDP成長率を0.4%と発表した。

個人消費は年初は株高や賃上げ期待で消費税増税後の反動から回復傾向も、円安による物価上昇に伸びが追いつかず、消費者心理が冷え込んだ。テレビなどの家電製品や自動車などの販売が減少。夏場は猛暑でエアコンや衣料品が好調も、冬場は暖冬で暖房器具や冬物衣料が不調だった。

設備投資は年初は円安や原油安を追い風に企業業績が上向きプラスに転換。8月の中国発の世界同時株安などをきっかけに、設備投資の実行の見送りの動きが出た。賃貸ビルや倉庫など不動産やサービス、運輸業の投資が増えた。輸出は中国など新興国経済の減速が影響。輸入は電子機器や原油、鉄鉱石などが減少した。

日本政府は、2015年1月12日、2015年度の実質GDP成長率を1.5%と見込んだ。個人消費は2%増。2015年の春の賃上げや自治体が配る商品券などの経済対策が消費を下支え。原油価格が2014年度より27%下がることを前提に、家計を和らげるとみる。設備投資は5.3%増、住宅投資は1.5%増、輸出は5.2%増、輸入は3.9%増。


2015年 日本のGDP推移

  2015年
予想 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 通年
実質GDP 1.5% 1.0% ▲0.3% 0.3% ▲0.3% 0.4%
GDP年率換算 - 3.9% ▲1.2% 1.0% ▲1.1%  
個人消費 2% 0.4% ▲0.7% 0.4% ▲0.9%  
住宅投資 1.5% 1.7% 1.9% 2.0% ▲1.2%  
設備投資 5.3% 2.7% ▲0.9% 0.6% 1.5%  
輸出 5.2% 2.4% ▲4.4% 2.7% ▲0.8%  
輸入 3.9% 2.9% ▲2.6% 1.7% ▲1.4%  

【10-12月期】
2016年3月8日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を0.3%減、年率換算で1.1%減と発表した。個人消費は0.9%減から0.8%減。暖冬で冬物衣料や暖房器具の販売が減少。テレビなど家電製品も低調だった。設備投資は1.4%増から1.5%増。賃貸ビルや倉庫などの不動産やサービス、運輸業の投資が増えた。輸出は0.9%減から0.8%減。世界経済の減速が影響した。民間在庫は0.11%減から0%。自動車や電子通信機、基礎化学製品の在庫が積み上がった。

2016年2月15日、10-12月期の実質GDP成長率の速報値を0.4%減、年率換算で1.4%減と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.8%減。暖冬でコートなど冬物衣料の販売が減少。テレビやパソコンなど電化製品も低調だった。設備投資は1.4%増。工場の生産機械などに使う数値制御装置やソフトウエアなどへの投資など工場の省力化や設備更新を目的とした投資が増えた。輸出は0.9%減。中国など新興国経済の減速が影響。船舶のほか銅などの非鉄金属や金属を加工する機械などが低調に推移した。輸入は1.4%減。電子機器や原油、鉄鉱石などが減少した。

2015年の実質GDP成長率は0.4%増だった。
 

【7-9月期】
2015年12月8日、7-9月期の実質GDP成長率の改定値を0.3%増、年率換算で1%増と発表した。個人消費は0.5%増から0.4%増。自動車や衣料品などが減少した。設備投資は1.3%減から0.6%増。卸売りや小売業、物品賃貸業など非製造業で新規出店や増改築、リース資産の購入が増えた。情報通信機械でもスマートフォン部品向けの投資が増えた。輸出は2.6%増から2.7%増。輸入は1.7%で横ばいだった。

2015年11月16日、7-9月期の実質GDP成長率の速報値を0.2%減、年率換算で0.8%減と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.5%増。夏の猛暑でエアコンや衣料の販売が増加。大型連休の旅行や外食などサービス消費が活発だった。設備投資は1.3%減。8月の中国発の世界同時株安などをきっかけに、計画している設備投資の実行を見送り。工場に新しい機械を導入したり、新築オフィスなどの投資が低迷した。住宅は1.9%増。輸出は2.6%増。中国やアジア向けは低迷するも、欧米向けが上向いた。輸入は1.7%増。国内消費の持ち直しを背景に増加した。
 

【4-6月期】
2015年9月8日、4-6月期の実質GDP成長率の改定値を0.3%減、年率換算で1.2%減と発表した。民間在庫が0.1%から0.3%に上方修正。消費や輸出の停滞で製造業の抱える在庫が積み上がり、GDPの上方修正につながった。設備投資は0.1%減から0.9%減に下方修正。化学や食料品、鉄鋼などの製造業で設備投資が落ち込んだ。

2015年8月17日、4-6月期の実質GDP成長率の速報値を0.4%減、年率換算で1.6%減と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.8%減。円安による物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、消費者心理が冷え込んだ。住宅投資は1.9%増。設備投資は0.1%減。輸出は4.4%減。中国をはじめ海外経済の減速でアジア地域などへの輸出ペースが鈍った。輸入は2.6%減。原油安で輸入量が減少した。


【1-3月期】
2015年6月8日、1-3月期の実質GDP成長率の改定値を1.0%、年率換算で3.9%と発表した。設備投資が速報値の0.4%から2.7%に増加。卸・小売業や電気業、サービス業など非製造業や物流センター、ホテルへの投資が増加した。

2015年5月20日発表の1-3月期の速報値では、実質GDP成長率を0.6%、年率換算で2.4%と発表した。GDPの60%を占める個人消費は0.4%増。株高や賃上げ期待から、消費増税御の反動から回復しつつある。住宅投資は1.8%増。消費増税後の反動減の影響が一巡し、プラスに転じた。設備投資は0.4%増。円安や原油安を追い風に企業業績が上向きプラス転換。輸出は2.4%増。北米向けの自動車輸出の堅調や統計上輸出に含まれる訪日外国人の消費も貢献した。輸入は2.9%増だった。