中国は、2016年3月5日、全国人民代表大会で2016年の実質経済成長率目標を6.5%~7%とする方針を表明した。物価目標は3%前後。財政政策では減税による企業負担軽減などに重点を置き、GDPに対する財政赤字比率を2015年の2.3%から2016年は3%に拡大。金融政策も緩和気味に運営し、マネーサプライは12%前後から13%前後に引き上げる。

経済効率を高めるため、2016年~2017年に鉄鋼業や石炭業などの設備過剰を解消。利益を出せない企業の淘汰などによる構造改革を進める。一方、2016年に鉄道投資に8000億元以上、道路建設に1兆6500億元以上を投じる。また、景気安定の目安として雇用を重視する方針を表明。2015年目標と同様「都市部で1000万人以上の新規就業」を目標とした。安定成長維持への景気下支え策を強化。「積極的な財政政策を強化する」「穏健な金融政策は柔軟で適度なものとする」とした。

2016年~2020年の5カ年計画。2020年にGDPで92兆7000億元(約1620兆円)を目指す。年平均6.5%以上の中高速成長を想定。2010年に比べGDPと所得水準を倍増させる国家目標を実現する道筋を描く。産業の高度化や環境汚染の抑制などを重視。少子高齢化に伴う働き手の減少に対応するため、一人っ子政策を撤廃し、すべての夫婦に2人まで出産を認める方針に転換した。


中国の経済目標推移

  2014年 2015年 2016年
経済成長率 7.5% 7% 6.5%~7%
物価上昇率 3.5% 3% 3%
マネーサプライ伸び率 13%以内 12%以内 13%以内


2016年~2020年の5カ年計画

  2020年
GDP 92兆7000億元(約1620兆円)
年平均成長率 6.5%以上