ウクライナが抱える対ロシア債務である30億ドル(約3660億円)を巡り、ウクライナとロシアが対立している。ウクライナは債務の一部削減や返済期限の繰延などを求めている。一方、ロシアは応じない方針。2015年12月20日の期限までに返済されなければ、国際的な仲裁機関に提訴する構え。
ウクライナの30億ドルの対ロシア債務は、ウクライナのヤヌコビッチ前政権が2013年12月にロシアから借入。政府債務の上限がGDP比で60%を超えると国債の償還を求めることができる規定があるという。
なお、ウクライナは2015年8月、2015年6月時点で抱える対外債務435億ドルの約40%にあたる193億ドルを持つ米欧民間債権者との間で、元本の20%を削減することで合意。債務は38億ドル減り、155億ドルに圧縮。返済も2015年~2023年から2019年~2027年に繰り延べた。
ウクライナの債務とGDP
【債務】
ウクライナ政府が抱える対外債務は2015年6月時点で約435億ドル。うち110億ドルは2015年内が返済期限とみられる。一方、ウクライナの外貨準備高は7月時点で約107億ドルにとどまる。IMFは2015年3月に175億ドルの金融支援を決定している。
2014年 | 2015年 | ||
対外債務 | 350億ドル | 435億ドル | |
(110億ドルは15年内) | |||
外貨準備高 | 107億ドル | ||
金融支援 | IMF | 140~180億ドル | 175億ドル |
EU | 120億ドル |
【債務削減】
2015年8月、2015年6月時点で抱える対外債務435億ドルの約40%にあたる193億ドルを持つ米欧民間債権者との間で、元本の20%を削減することで合意した。債務は38億ドル減り155億ドルに圧縮。返済も2015年~2023年から2019年~2027年に繰り延べた。
米欧民間債権者 | 合意内容 |
債務削減 | 193億ドル→155億ドル |
返済期限 | 2015年~2023年→2019年~2027年 |
【経済】
2014年のGDPは6.8%減で推移。日本経済新聞が報じたウクライナの財務相とのインタビューによると、2016年は2%程度の成長に転じる見通し。2016年1月に発効予定の欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)をテコに輸出を促進する。
2014年 | 2016年 | |
GDP | ▲6.8% | 2% |
ロシアの経済
ロシア中銀の実質GDP成長率の見通しは、2015年が3.9%減~4.4%減、2016年は0.5%減~1%減。また、ウクライナ問題に伴う経済制裁で、欧米の金融市場から資金調達をできなくなった影響から、資本流出は2015年に700億ドル規模に達するとしている。
2015年 | 2016年 | |
GDP | ▲3.9%~▲4.4% | ▲0.5%~▲1% |
資本流出 | 700億ドル |