神戸製鋼所(5406)は2013年~2015年の中期経営計画で、2015年度経常利益は800~1000億円との目標を掲げている。2017年度を目途に鋼材事業の生産拠点を再編。現在実行中のコストダウン投資効果の取り込み。電力供給事業を安定収益基盤として拡大する方針。


経営計画

鉄鋼事業では2013年度に黒字化を達成。前中期経営計画で拡充した海外拠点である北米の自動車ハイテン鋼板設備、中国の自動車高級ばね溶鋼線製造の拠点、中国・北米のアルミ鍛造部品製造拠点などを活用し、自動車やエネルギー分野及び新興国での販売量を確保。また、財務面では2013年から2015年の3年間で棚卸資産の削減や債権・資産売却などにより1200億円のキャッシュフローを創出する。

  経常利益 D/Eレシオ
2015年 800~1000億円 1.3倍
2020年近傍 2000億円 1.0倍以下

【鋼材事業】
2017年度をめどに神戸製鉄所の高炉などの上工程設備を休止し、加古川製鉄所へ集約。主力の特殊鋼線材・棒鋼の競争力を強化。

【機械事業】
グローバル展開の強化や建機事業での欧米再参入などによる拡大。

【電力供給事業】
栃木県に140万kW級のガス火力発電の建設し、2019年から2021年頃の稼動を目指す。神戸製鉄所で休止する高炉跡地を活用し、電力供給事業の可能性を検討。


増資による資金使途

2014年2月に増資を実施し約831億円を調達。2016年度末なでに132億円を鉄鋼事業及びアルミ・銅事業における自動車分野への投資資金に、残額を「鋼材事業の構造改革」と「鉄鋼事業の収益力強化」に充当する。「鋼材事業の構造改革」では、神戸製鉄所の高炉をはじめとした上工程設備を休止し、加古川製鉄所に集約。加古川製鉄所に最新鋭の設備を導入し、主力製品である特殊鋼線材・棒鋼の競争力を高める。「鉄鋼事業の収益力強化」では、新溶銑処理工場、高効率自家発電設備、厚板加速冷却設備などのコスト競争力強化のため設備投資を行う。

充当額 分野・内容
699億円 鋼材事業の構造改革 神戸製鉄所の上工程設備を休止し、加古川製鉄所へ集約。特殊鋼線材・棒鋼、自動車ハイテン鋼板、エネルギー向け圧板など高付加価値製品の強化
鉄鋼事業の収益力強化
132億円 鉄鋼事業及びアルミ・銅事業における自動車分野への投資資金