神戸製鋼所の2016年~2020年の経営計画。

2013年~2015年は経営基盤を再構築。鋼材事業では、2017年度をめどに神戸製鋼所の高炉など上工程設備を休止し、加古川製鉄所へ集約するなど構造改革を実施。機械事業では、圧縮機の生産能力増強投資や米国に油圧ショベルの生産工場を建設するなどグローバル展開の強化などで拡大。電力事業では、栃木県に120万キロワットの天然ガス火力発電所の建設や2017年に休止する高炉跡地に130万キロワットの石炭火力発電所の建設を決めた。

2016年~2020年は素材・機械・電力の3本柱に注力。素材では、自動車分野の軽量化ニーズ加速を想定し、超ハイテン・アルミ素材の強化や1000億円規模の投資を検討。航空機分野では上~下行程一貫体制を確立する。機械では、大型ターボ圧縮市場への参入や水素ステーション向けユニットなどの拡販を目指す。電力では、2022年度に395万キロワットの発電規模を達成する。

着実に成長投資を実施できるように、最大1000億円をターゲットに資産売却や運転資金改善などキャッシュ対策を検討。配当性向は当面の間15%~25%とする。


注力の3本柱の戦略

【素材系事業】
自動車分野では、燃費・CO₂排出規制と安全性向上で軽量化ニーズが加速すると想定。超ハイテン・アルミ素材の競争力を強化。2021年以降に自動車メーカーなどに販売する。国内マザー工場の強化や北米・中国での成長取り込みに向け1000億円規模の投資を検討する。

航空機分野では、チタン・アルミ・マグネシウムなどの素材で溶解や鋳造、鍛造の上工程を強化。機械加工・表面処理・塗装の下工程参入や拡大に向けた研究開発を推進。上~下工程一貫体制を確立する。

鉄鋼事業では、2017年度での加古川製鉄所への上工程集約で150億円、設備投資や生産現場でのコスト削減で300億円、輸送機分野での成長で250億円の収益底上げを図る。


【機械系事業】
圧縮機事業の拡大に向け、非汎用圧縮機事業において大型ターボ圧縮市場への参入を図る。試運転設備を2017年4月に立ち上げる。

水素関連事業では、水素ステーション総合テストセンターの新設や再生可能エネルギーを利用した水素ステーションの実証試験などで技術を確立。水素ステーション向けユニットなどの拡販を目指す。

建設機械事業では、中国で生産能力の見直しや2拠点の機能を見直し。日本・米国・東南アジア向けに本体や製缶部品を供給し操業度を確保するなど、収益力強化に向けた構造改革を断行する。また、2016年4月に北米ショベル工場を稼働、欧米・インドでの拡販なども実行する。2016年4月にはコベルコ建機とコベルコクレーンを統合。グローバルシェアでショベル10%、クローラーレーンの中小型で40%、大型で15%を目指す。


【電力事業】
真岡・神戸の2つの新規発電プロジェクトを推進し、2022年度で395万キロワットの発電規模を達成する。

 

神戸製鋼所の銘柄診断