新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がタイ商務省と共同で推進している再生・細胞医療プロジェクトで、川崎重工業が開発した細胞自動培養システムの実験設備がチュラロンコン大学に完成し運転を開始する。 再生医療に使う細胞培養には、細菌汚染防止と熟練技術者が必要で、ヒト移植用の細胞培養施設(CPC)が必要。しかし、CPCの建設・維持には多額の費用が必要となるため再生・細胞医療の普及に障害となっている。

川崎重工業が開発した細胞自動培養システム(R-CPX)は、CPCと同じ環境下で細胞培養の完全自動化に成功したシステム。CPCや熟練技術者がいない医療機関でも再生・細胞医療の臨床応用が可能になる。チュラロンコン大学に設置したR-CPXを用いて、関節軟骨の再生を対象に臨床応用可能なレベルの細胞を調整できるかを確認する。 自動化システムによる世界初の再生・細胞医療の薬事承認は、タイ保健省食品薬品局(FDA)より、2014年頃取得する計画。川崎重工が製造するR-CPXのタイにおける事業化は、軟骨再生を対象としたシステムから着手する予定。


日本式再生医療 タイからアジアへ

再生医療で治療する臨床研究が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援により2013年秋から開始される。タイは医療ツーリズムの先進国でアジア新興国の医療の拠点であることから、再生医療関連製品の市場開拓や日本式医療の輸出につなげる狙い。
 

機関 対象 内容
大阪大学 角膜 角膜損傷により両目の視力が落ちた患者への治療
武庫川女子大学 軟骨 膝の軟骨を欠損した患者への移植 


【大阪大学】
薬の副作用や外傷で目の角膜の表面が濁り、両目の視力が落ちた患者への治療における臨床研究を実施する。患者の口の粘膜から細胞を採り、シート上に培養して移植する。2013年9月から2014年度まで実施され、臨床研究を終えた2015年以降には企業などと協力し、細胞シートの製品化に向けた治験の実施をタイで検討する。臨床研究には国内企業が開発した細胞の自動培養装置を活用するもようで、培養に使う皿や培養液など周辺機材の市場開拓にも期待がかかる。


【武庫川女子大学】
膝の軟骨を欠損した患者を対象に、腰周辺の骨から細胞を採取し、培養後に軟骨に移植する臨床研究を実施する。2013年秋から実施される。直径5ミリの穴から移植することで傷口が小さくて済むという。