原油価格が1バレル=30ドル近辺で推移していることから、産油国の財政がどの程度耐えられるかに注目が集まる。

ロシアは原油生産量が世界2位。国家収入の40%を石油関連収入に依存。ロシア政府が予算の均衡を保つために必要としている原油価格水準は1バレル82ドルに設定している。ロシア中銀は、原油価格推移の前提を2018年まで1バレル50ドルに設定。2015年1~8月に政府系ファンドから9000億ルーブル(約1兆7000億円)を取り崩したとみられる。

ロシア政府は、歳出削減を進める。2015年予算で約15兆5000億ルーブル(約26兆円)を見込む歳出を10%削減。2016年から2018年にも最低5%の歳出削減を行い、2017年までに財政均衡化を目指している。


ロシアの原油関連情報

項目 内容
原油 国家歳入の40%が石油関連収入
2015年~2017年の財政均衡価格を100ドルに設定
原油価格1ドル変動で700億ルーブル(約1800億円)の歳出入変動


ロシア中銀の見通し

ロシア中銀は、原油価格推移の前提を2018年まで1バレル50ドルとした。実質GDP成長率の見通しは、2015年は▲3.9%~▲4.4%、2016年は▲0.5%~▲1%。また、ウクライナ問題に伴う経済制裁で、欧米の金融機関から資金を調達出来なくなった影響から、資本流出は2015年に700億ドル規模に達するとしている。

項目 内容
原油価格 2018年まで1バレル50ドル
GDP 2015年▲3.9%~▲4.4%
2016年▲0.5%~▲1%
資本流出 2015年700億ドル


運用資産の取り崩し

ロシアは、2015年1~8月に9000億ルーブル(約1兆7000億円)を政府系ファンドから取り崩した。

  2015年1~8月
取り崩し額 ▲9000億ルーブル


4兆円の経済対策

ロシア政府は、2015年1月28日、約2兆3300億ルーブル(約4兆円)規模の経済対策を行うと発表。国債発行による1兆ルーブルなどを銀行に注入して、通貨ルーブルの急落や金融取引制限の影響を受ける金融機関の経営安定化に努める。地方政府に対する財政支援や物価上昇に伴う年金増額、失業対策にも資金を確保する。

また、2015年予算で約15兆5000億ルーブル(約26兆円)を見込む歳出を10%削減。新たな地域開発の延期などで歳出を抑える。歳出抑制には国防関連や年金、保証分野は対象外。2016年から2018年にも最低5%の歳出削減を行い、2017年までに財政均衡化を目指す。 

項目 内容
経済対策 4兆円規模 歳出10%削減
効果 ルーブル 金融機関経営の安定化
歳出削減 対象 新たな地域開発延期
対象外 国防関連 年金 社会保障分野
目標 2017年までに財政均衡化


他の産油国の財政収支均衡

  財政収支均衡 経常収支均衡
サウジアラビア 86ドル 63.5ドル
UAE 79ドル 64.2ドル
カタール 54ドル 55.9ドル
クウェート 54ドル 32.9ドル