米国やカナダに続き、欧州やアジアで新型ガス「シェールガス」の開発が加速している。英国は優遇税制の導入などで開発を支援。インドネシアやオーストラリア、中国ではガスの探鉱が進む。 {欧州} 【英国】 英国は2013年から地中の頁岩に含まれるシェールガスを採掘する技術であるフラッキングを解禁。企業の開発投資を促すため、優遇税制の導入を明らかにした。英経営者協会は、シェールガスが英国のガス需要の3分の1を満たすとしている。 【ポーランド】 ポーランドは2014年から生産開始を目指しており、欧州でも最も早く生産を開始する。国際石油メジャーの米シェブロンやイタリア炭化水素公社(ENI)などが探鉱を進めている。 【フランス】 水質汚染など環境への配慮から、フラッキングを全面禁止している。 {アジア} 【インドネシア】 インドネシアの国営石油会社プルタミナは、5月にスマトラ島北部の鉱区開発で当局と契約を結んだ。20年間で78億ドルを投資し、2020年の生産開始を目指す。インドネシアはLNG輸出国だが、高成長で石油やガスの国内需要が拡大している。シェールガス開発によって国内消費を賄うほか、将来のLNG価格の低下に備える。 【中国】 中国のシェールガスは山間部が多い南部や中西部に偏り、大部分が地下4000メートル以下の深い層にある。比較的平たんで浅い場所にある米国とは異なり、開発コストが割高。また、インフラの未整備でフラッキングに使う水が足りないとの問題がある。 {オセアニア} 【豪州】 最大需要地であるアジアに近い地理的優位性を生かして輸出を狙う。2012年10月に地元大手のサントスが初めてシェールガスの商用生産を開始。2013年、米主部論が中部2鉱区で最大60%の権益を取得すると発表した。 {世界のシェールガス埋蔵量} 米エネルギー情報局(EIA)は、2013年6月10日、世界で採掘可能な新型天然ガス「シェールガス」の埋蔵量が約206兆立方メートルに上ると推計した。 EIAはシェールガスが埋蔵されている頁岩層の地中分布状況から、現在の技術で採掘可能な範囲で推定。シェールガスの埋蔵量は天然ガス全体の約32%を占めた。 国別では、中国が31.5兆立方メートルとトップで、アルゼンチンが22.7兆立方メートル、アルジェリアは20兆立方メートルと続く。
推定埋蔵量
世界合計 206.6兆立方メートル
中国 31.6兆立方メートル
アルゼンチン 22.7兆立方メートル
アルジェリア 20.0兆立方メートル
米国 18.8兆立方メートル
カナダ 16.2兆立方メートル
欧州 13.3兆立方メートル
豪州 12.4兆立方メートル
ロシア 8.1兆立方メートル
インドネシア 1.3兆立方メートル
{シェールガス 日本への輸送コスト(液化処理費用を含む)} ・米国 6~7ドル ・インドネシア 2~4ドル