政府は、2014年2月、電気事業法の改正案を閣議決定した。今国会で法案が成立すれば、大手電力10社が独占している家庭や商店への電力販売への参入が2016年から認められる。 2015年に地域をまたぐ電力供給設備を整え、2016年に電力小売り参入を自由化、2018年から2020年をめどに電力料金も前面自由化する。電力小売りの前面自由化で新たに7.5兆円の市場が開放されるとされている。 中部電力は、東京電力の新規火力発電所建設に営業区間をまたいだ「越境販売」を前提に提携。三菱商事の100%子会社である新電力ダイヤモンドパワーの株式80%を取得し、東京電力管内で電力を供給する方針。日本製紙は2014年度から電力小売り事業に参入。火力発電所を2~3ヶ所新設し、2018年までに稼動させる改革。東京電力も2014年5月をめどに新電力を作り、関東以外での販売を始める。


新電力・電力小売関連企業

企業 内容
エネット NTT、東京ガス、大阪ガスの共同出資会社。新電力のシェア50%。
日本製紙 火力発電所を2~3ヶ所新設。2014年に参入。2018年までに順次稼動。
F-Power -
JX日鉱日石エネルギー 石油精製の副産物を燃料に使った新型火力発電所を2016年春をめどに稼動。
王子HD 2015年度に売電事業で年280億円を見込む
サミットエナジー 住友商事が100%保有。
日本テクノ 主な株主:オリックス、東京海上保険、三菱UFJ、横浜銀行、りそなキャピタル
東京ガス 発電能力の増強を計画。
中部電力 三菱商事傘下のダイヤモンドパワー買収。三菱商事・日本製紙と共同で火力発電所を建設。

【日本製紙】
合計170万キロワットの発電設備を持つ。このうち10万~20万キロワットが余剰となっているため小売に参入する。さらに火力発電所を2~3ヶ所新設し、合計40万キロワット程度の発電能力を確保する。

【王子ホールディングス】
江別工場と日南工場に170億円を投じてバイオマス発電設備を導入し、年3億キロワット時を売電。2015年度中までに稼動させる計画。また、2015年度までに30億円を投じて北海道と静岡県にある4ヶ所の水力発電所を改修。発電能力を10%引き上げ、年6000万キロワット時の電気を全量外部販売にする。さらに、富士工場にバイオマス発電所を90億円で新設。総発電量は年4億5000万キロワット時で、このうち3分の1の電力を売電に振り向ける。2015年度に売電事業で年280億円の売上を見込む。