金沢大学の川尻剛照准教授らの研究グループは、2019年3月21日までに、悪玉コレステロール値が生まれつき高くなる「家族性高コレステロール血症」の患者の血液からiPS細胞を作製し、ゲノム編集して病気に関する部分を修正することに成功したと発表した。

家族性高コレステロール血症は、悪玉コレステロールが血液中を流れた後、不要となった分を肝臓でうまく回収できない病気。両親のいずれかから遺伝子を受け継ぐ「軽症型」と双方から受け継ぐ「重症型」があり、国内で軽症型は200~300人に1人、重症型は16万~36万人に1人いるとされる。重症型に有効な薬はなく、十分な治療法はない。

研究チームは、重症型患者の血液に含まれる白血球の一種の「Tリンパ球」からiPS細胞を作製し、ゲノム編集で悪玉コレステロールの回収に関わる遺伝子を修正。修正後のiPS細胞から作った肝臓は、機能が正常で、患者の免疫細胞から攻撃もされなかったという。