西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大している。エボラ出血熱は、感染すると発熱や下痢、全身からの出血といった症状が起こる。空気感染はしないが、患者の体液と接触すると感染の恐れがあるという。ワクチンや治療法は確立されておらず、致死率は40%~90%とされている。

2014年3月にギニアで感染が確認、7月31日にシエラレオネ、8月6日にリベリアが非常事態を宣言。米国では米疾病対策センター(CDC)が警戒レベルを最高に引き上げた。

世界保健機関(WHO)は、2014年8月8日、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言し、感染が広がった国には原因不明の発熱のほか、全ての出国者を検査するよう勧告。8月12日に未承認薬の使用を「倫理的」と認める委員会結果を発表。8月28日にはエボラ出血熱への対応策をまとめた行程表を発表。感染者が2万人に上ることも想定し、新たな感染を食い止める目標を立てた。

2014年10月21日、WHOはエボラ出血熱から回復した患者の血清を治療に使う体制をリベリアで整備すると発表。英グラクソ・スミスクラインやカナダ公衆衛生庁が開発したワクチンは2015年1月の利用開始を目指し、2014年10月中に臨床試験を拡大する。

2015年5月9日、WHOはリベリアでエボラ出血熱の流行が終結したと宣言。最後の感染者報告からWHOが定めた最長潜伏期間の2倍にあたる42日間が経過した。

 

エボラ出血熱関連情報

【エボラ出血熱】

項目 内容
症状 発熱や下痢、全身からの出血
治療法 確立されていない
致死率 40%~90%


【推移】

2014年 内容
3月 ギニアで感染が確認
7月31日 シエラレオネで非常事態宣言
8月6日 リベリアで非常事態宣言
米疾病対策センターが警戒レベルを最高に引き上げ
8月8日 WHOが緊急事態宣言
8月12日 WHOが未承認薬の使用を容認
8月28日 WHOが対応策を策定。10月中頃までに新たな感染を食い止め
9月23日 死者3091人、感染の疑い人数6574人
9月30日 米国内で感染者を確認
10月25日 死者4922人、感染の疑い人数1万141人
10月29日 WHO、対策必要資金283億円のうち49%を調達
10月 2つのワクチンの臨床試験を拡大
11月19日 死者5420人、感染の疑い人数1万5145人
11月 回復した患者の血清を治療に使う態勢をリベリアで整備
2015年 内容
1月 ワクチンの利用開始
5月9日 WHO、リベリアでエボラ出血熱の流行終息宣言


【経済損失】

世界銀行のキム総裁は、2014年10月9日、エボラ出血熱の感染が広がれば、西アフリカ地域で2015年末までに326億ドル(約3.5兆円)の経済損失になるとの試算を示した。

  ~2015年
経済損失 3.5兆円