ドイツの銀行大手ドイツ銀行は、米司法省から140億ドル(約1兆4300億円)にのぼる巨額の和解金が要求され、業績悪化懸念が高まっている。ドイツ銀行はドイツ最大の金融機関で、経営難に陥ればヨーロッパ全体の金融システムに悪影響が広がりかねない。

問題となっているのは、過去に米国で不正に販売した住宅ローン担保証券(MBS)。米司法省が和解金を求め、ドイツ銀行も交渉中としている。米司法省の要求通り巨額の和解金を支払えば、業績に響くだけで無く、自己資本比率も低下する。それを補うために増資が必要になる可能性があるという。自己資本は2016年6月末で約620億ユーロ。

ドイツ銀行は、和解金を減らす交渉に入る意向を示した。同じような不正取引において、米系の銀行は和解金がはるかに少ない。最終的な支払額を数十億ドルに圧縮し、引当金の範囲内に収める狙い。

2016年12月23日、ドイツ銀行は米司法省と72億ドル(約8500億円)を支払うことで合意した。


ドイツ銀行と米司法省 和解

項目 内容
ドイツ銀行の支払額 72億ドル


ドイツ銀行 米司法省から1.4兆円の和解金要求

項目 内容
米司法省からの和解金要求額 140億ドル(約1兆4300億円)
ドイツ銀行の主張額 数十億ドル


ドイツ銀行の動き

2016年9月28日、傘下のイギリスの保険会社を約1200億円で売却すると発表。中核ではない事業の売却などで資金を確保し、市場で広がる懸念を払拭する狙い。

項目 内容
売却 傘下イギリスの保険会社
売却額 1200億円