京都大学は、iPS細胞を使い、手足などが震える神経の難病であるパーキンソン病の臨床応用開始を2015年から2016年に変更する。京都大学は2015年夏に他人の細胞からiPS細胞を作って備蓄する事業を構築。民間企業などへの提供を開始したことから、他人の備蓄iPS細胞の使用に切り替える。

臨床応用は、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授ら研究グループが計画。患者の血液からiPS細胞を作製し、大量の神経細胞に成長させて患者の脳に移植。患者の脳内で減っている神経伝達物質「ドーパミン」の量を増やす計画だったが、患者本人から作製するiPS細胞は品質にばらつきが出る可能性があるという。品質の高い他人のiPS細胞を使うことで、移植する細胞の安全度が高まるもよう。

移植後は、1年間経過を観察し、安全性を確認する。


※パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分で、神経伝達物質のドーパミンを放出する神経細胞が減少することで発症する。手足の震えや歩行障害などの病状が出る。


従来の計画

2015年1月頃から京都大学が設置予定の第三者委員会による審査が開始。厚生労働省の審査を経て、厚労相が承認すれば臨床研究ができる。2015年夏に臨床研究に着手し、2016年には移植手術を実施。2017年度中に先進医療の適用を厚生労働省に申請し、2018年度から保険診療と併用する「先進医療」として開始することを目指す。

また、2018年度には他人のiPS細胞での臨床試験に乗り出す。

スケジュール 内容
2014年6月 京大が厚労省に第三者委員会設置を申請
2015年1月 京大・第三者委員会がパーキンソン病の臨床研究計画審査を開始
2015年春 第三社委員会の了承を受け、厚労相に計画を提出
2015年夏 厚労相の承認を受け、臨床研究開始
2016年 パーキンソン病患者に神経細胞を移植
2017年 先進医療適用を厚労省に申請
2018年 先進医療として開始