京都大学iPS細胞研究所の妻木範行教授らは、他人のiPS細胞から育てた軟骨組織を再生医療で使う臨床研究について2019年中に学内の審査機関に申請する方針。順調に進めば、2020年中に1例目の移植実施を目指す。臨床試験がうまくいけば、旭化成が実用化を検討。共同研究を通じて軟骨組織の量産技術を確立する。2029年の実用化を目標とする。

京都大学が備蓄するiPS細胞から直径2~3ミリメートルの球状の軟骨細胞を育て、数平方センチメートルの患部に移植する。周囲の軟骨とくっつき、機能することを期待する。移植した軟骨細胞は、血管が無く、患者の免疫細胞が軟骨細胞に触れることもないため、拒絶反応が起きにくいという。

損傷部が小さい膝関節が対象だが、将来的には肘や足首など軟骨損傷や高齢者に多い変形性膝関節症にも広げたい考え。

膝関節は、関節をスムーズに動かす役割を持つ。運動や怪我などで傷つくと修復が難しい。従来は人工関節に置き換える手術や患者から正常な軟骨の一部を切り取って、培養して増やし、患部に移植する手法がある。