再生医療関連で、2015年に動きがある見通しの企業をまとめた。2014年11月に再生医療等安全性確保法と薬事法が改正され、民間企業でも医療用細胞を受託できるようになったこと。医療品医療機器法が施行され、再生医療薬が国の承認を得られるまでにかかる期間が約7年から2~3年に短縮され、日本は世界で最も早く実用化できるようになったことから、再生医療向けの薬を開発する動きが活発化する可能性がある。


再生医療 15年の注目点

コード 企業 内容 時期
2370 メディネット 細胞加工施設を稼動 2015年5月
4543 テルモ 心不全を対象とした骨格筋芽細胞シート 2015年10月頃
中東に心筋の再生医療技術を輸出 2015年
6340 澁谷工業 再生医療機器を化通用した肝硬変患者治療 2015年秋
4974 タカラバイオ 医療用細胞を量産 2015年
4552 JCRファーマ 免疫不全治療薬 2015年


 

【メディネット】
2014年11月から再生医療等安全性確保法と薬事法が改正され、民間企業でも医療用細胞を製造受託できるようになったことから、細胞加工施設を建設。投資額は15億円。2015年5月に稼動する予定。


【テルモ】
2014年10月に虚血性心疾患による重症心不全を対象とした骨格筋芽細胞シートを再生医療等製品として製造販売承認を申請した。安全性などの審査に約1年かかる見通し。

テルモは心筋の再生医療について2007年より細胞シートの開発に着手。2012年から治験を開始。2014年に完了した。

また、2015年にも政府と連携し、カタールやサウジアラビアに心筋の再生医療技術を売り込む。治療技術の知的財産権を現地の医療法人が使えるようにしたり、再生医療製品を販売するのが柱。細胞の培養機器なども一体で売り込む計画。


【澁谷工業】
澁谷工業が開発した再生医療機器を活用した肝硬変患者の治療が2015年秋にも山口大学で実用化される見通し。患者の骨髄液から細胞を培養して体内に戻し、肝臓を再生する血用法。山口大学は2015年夏頃に厚生労働省に認可申請を行う見通し。


【タカラバイオ】
がんなどの治療に役立つ遺伝子を導入した細胞を2015年をめどに量産。年数百人の製造量を最大2400人分に引き上げる。

2014年11月から再生医療等安全性確保法と薬事法が改正され、民間企業でも医療用細胞を製造受託できるようになったことから、2014年10月に滋賀県に新拠点「遺伝子・細胞プロセッシングセンター」を稼動。病院等の患者の血液から細胞を採りだし、治療に利く遺伝性を導入した細胞を製品として病院に提供する。


【JCRファーマ】
人の細胞を培養し免疫不全などの治療に使う「細胞医薬品」の生産に乗り出す。健常者の骨髄液に含まれる幹細胞の一種を医薬品として使用。移植手術の際に起きる重い拒絶反応を抑える効果が期待できるという。2014年夏に厚生労働省に製造販売承認を申請。2015年に販売できる見通し。約5億円を投資し、年500~600人分の生産体制を整備。市場規模は年数十億円とみられる。