FOMCに対する市場予想は、量的緩和の早期縮小はなく、年末から来年にかけてというものだった。これに対して、バーナンキ議長は年末に縮小開始、来年半ばに終了という工程表を示し、市場の不透明感を払拭した。背景にはベージュブック(地区連銀経済報告)で全ての地域で回復基調が確認されたこと、自動車や住宅など基幹産業で顕著な回復が見られることがあり、量的緩和策は成功しているという自信のはず。FRBの予想が外れた場合は縮小ではなく、増加もあり得ると発言したのは、政府の歳出削減が景気の足を引っ張っていることを意識したと思われる。 米国市場は株売り、ドル買いで反応したが、これはイベントを売買材料とするファンドの動きで一過性と見るべきだろう。FRBが明確な工程表を示したことで不透明感が晴れ、今後は米国景気の回復度合い=景況感に焦点が移る。ボールは中央銀行から、政府、企業の行動に渡る構図は、日本と同じだ。米国、日本は現在の世界経済の牽引車だ。欧州も脆弱な金融システムを再構築し、ようやく景気回復への道筋をつけようとしている。世界経済の回復局面では、日本株の優位性が再び高まってくる。

【13年 資産新規購入の縮小・停止】
米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の合計で毎月850億ドル(約8兆6000億円)を買い入れている資産購入プログラムを縮小する。購入額を段階的に減らし、最後にゼロにする。

【14年 FRBの資産規模の縮小】
3兆ドルに膨らんだFRBの資産規模を縮小する。米国債・MBSを市場で直接売るのではなく、保有証券の償還を待ってなるべく市場に影響を与えないようにする。

【15年 ゼロ金利策解除・利上げ】
政策金利を引き上げる。FRBは12年末、「インフレ率が2.5%を上回らない限りは、失業率が6.5%に下がるまでゼロ金利政策を続ける」と表明。FOMCによると、失業率が6.5%に下がるのは15年と予測されている。


FRBの金融緩和出口戦略

2013年 資産新規購入縮小・停止 ・毎月850億ドル購入している米国債・住宅ローン担保証券(MBS)の購入を段階的に縮小
2014年 FRBの資産規模の縮小 ・米国債・MBSの償還分を再投資せず、保有資産を縮小
・市場売却を回避するなど市場に混乱を与えない対策を検討
2015年 ゼロ金利政策解除・利上げ ・失業率6.5%への下落でゼロ金利を解除
・政策金利の見直し