東京大学の中内啓光教授らは、iPS細胞から血液のもとになる「造血幹細胞」を作製することに成功した。 マウスへの移植で血液の病気治療に役立つことが確かめられ、ドナー不足が問題になっている骨髄移植に変わる白血病の新たな治療法開発につながる。 iPS細胞から血液細胞を作り、移植に使える造血幹細胞を作るのは難しかった。 研究チームは、iPS細胞などをマウスに移植するとできるテラトーマ(奇形腫)と呼ぶ細胞の塊に着目。免疫が働かないようにしたマウスに、人から作ったiPS細胞と、細胞増殖を促すタンパク質を注射した。するとマウスの体内にテラトーマができ、造血細胞が育ち、正常に血液を作ることを確認した。 この造血幹細胞を取り出し、放射線を当てて造血幹細胞を壊したマウスに移植すると、3ヶ月後に造血幹細胞が骨髄に集まり、リンパ球など全ての血液細胞を作ったという。 今後、治療に生かす際は、ブタなどで大量に造血幹細胞を作る技術などが必要になる。 --- 【[iPS細胞の主な臨床研究スケジュール[2326]]】 造血幹細胞の臨床研究は、2020年から2023年に予定されている。 【[iPS細胞関連情報へ[1987]]】