京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞を使い、手足などが震える神経の難病であるパーキンソン病を治す臨床試験を2016年に始める見通し。2014年6月にも安全性の審査手続に乗り出す。

臨床研究は、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授ら研究グループが計画。患者の血液からiPS細胞を作製し、大量の神経細胞に成長させて患者の脳に移植。患者の脳内で減っている神経伝達物質「ドーパミン」の量を増やす。移植後、1年間は経過を観察し、安全性を確認する。

2015年1月頃から京都大学が設置予定の第三者委員会による審査が開始。厚生労働省の審査を経て、厚労相が承認すれば臨床研究ができる。2015年夏に臨床研究に着手し、2016年には移植手術を実施。2017年度中に先進医療の適用を厚生労働省に申請し、2018年度から保険診療と併用する「先進医療」として開始することを目指す。

また、2018年度には他人のiPS細胞での臨床試験に乗り出す。

※パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分で、神経伝達物質のドーパミンを放出する神経細胞が減少することで発症する。手足の震えや歩行障害などの症状が出る。

 


iPSでパーキンソン病治療 臨床研究へのスケジュール

スケジュール 内容
2014年6月 京大が厚労省に第三者委員会設置を申請
2015年1月 京大・第三者委員会がパーキンソン病の臨床研究計画審査を開始
2015年春 第三社委員会の了承を受け、厚労相に計画を提出
2015年夏 厚労相の承認を受け、臨床研究開始
2016年 パーキンソン病患者に神経細胞を移植
2017年 先進医療適用を厚労省に申請
2018年 先進医療として開始