日本経済新聞は、2013年7月23日、横浜市立大学とクラレなどの研究チームがiPS細胞から小さな肝臓を量産する技術を開発したと報じた。直径1ミリメートルにも満たない肝臓の塊を一度に600個作ったという。 横浜市立大学の谷口英樹教授らの研究グループは、ヒトiPS細胞で小さな肝臓を作り、マウスの体内で働くことを確認している。iPS細胞を肝細胞の一歩手前の段階まで育て、血管を作る細胞と細胞同士をつなぐ働きを持つ細胞を混ぜて培養すると直径5ミリメートルほどの肝臓の種となる塊になる。これを肝不全のマウスの腹部に移植すると、1ヶ月後には細胞を移植しなかったマウスの生存率は30%だった一方、細胞を移植したマウスの生存率は90%だったという。

複数の細胞を肝炎など重い病気で肝臓が弱った患者に移植すれば、提供者が常に不足している臓器移植に代わる治療法になる。ヒトへの移植では、小さな肝臓が大量に必要となるため、今後さらに生産効率を高める。