2018年度の中央銀行の政策金利推移一覧。中央銀行の方針や経済成長見通し、インフレ率への対応などまとめ。


中央銀行の政策金利推移 2018年

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ECB - - -0.4 -0.4 - -            
英国 - 0.5 - - 0.5 0.5            
トルコ 9.25 - 9.25 - - -            
オーストラリア - 1.5 - 1.5 1.5 1.5 1.5          
韓国 1.5 1.5 - 1.5 1.5 - 1.5          
フィリピン - 3 3 - 3.25 3.5            
インドネシア 4.25 4.25 4.25 4.25 4.75 5.25            
ニュージーランド - 1.75 1.75 - 1.75 1.75            
マレーシア 3.25 - 3.25 - 3.25 - 3.25          
インド   6 - 6 - 6.25            
ブラジル - 6.75 6.5 - 6.5 6.5            
タイ - 1.5 1.5 - 1.5 1.5            
ロシア - 7.5 7.25 7.25 - 7.25            


 中央銀行別の主なポイント

【ECB】
ECBは、2018年4月26日、政策金利や資産購入額を据え置いた。2018年3月時点では、声明文の「(経済・物価次第で)量的緩和政策の規模などを拡大する」としていた部分を削除した。また、量的緩和政策を終えても政策金利はしばらく現行水準で据え置く、2018年9月末としている量的緩和の期限を必要があれば延長するという部分は変更しなかった。

ドラギ総裁は「物価は抑えられた状態にある」とした。イタリア、スペインなど南欧では失業率が高止まり、当面は相当の金融緩和が必要という。

 

【英国】
2018年6月21日、政策金利を0.5%に据え置いた。中銀が保有する4350億ポンドの英国債の売却時期について新たなガイダンスを設定。政策金利が1.5%前後に達した場合に売却を始める可能性があるとし、従来の2%から時期が早まる指針を示した。

2018年2月時点では、2018年から2019年の経済成長率見通しを引き上げ。従来の想定よりも今後の利上げペースや規模が大きくなる可能性があるとの見通しを示した。2018年5月時点では、2018年から2020年の経済成長率と物価見通しを引き下げ。最近の経済・物価指数の鈍化を踏まえ、英景気の減速が一時的なものにとどまるかどうかを慎重に見極める考え。
 

【トルコ】
2018年6月8日、主要な政策金利である1週間物レポ金利を1.25%引き上げ、年17.75%とした。

2018年4月19日、主要な政策金利である翌日物貸出金利を9.25%に据え置いた。インフレ見通しが大幅に改善するまで、引き締めスタンスを継続する方針。

エルドアン大統領は「高金利のせいでインフレ率が下がらない」とし、中銀に圧力をかけていることから、利上げは政治的に難しい。米国が利上げ局面に入った中、利下げはリラ下落につながり、インフレ圧力を高める。中銀は身動きがとりにくい状況にある。

経常赤字国のトルコは、工場建設から消費者ローンまで成長に必要な資金を海外に頼っている。企業は外貨建ての債務返済に苦しむ。2016年6月末時点のトルコの短期対外債務は1074億ドル(約12兆7000億円)で、外貨準備とほぼ同額。通貨危機など危機時への対応に不安を残す。
 

【オーストラリア】
2018年7月3日、政策金利を1.5%に据え置いた。ロウ総裁は「賃金の上昇が鈍く、シドニーなど主要都市で住宅価格が下落している」と指摘。金利を過去最低水準に維持し、景気を下支えする。非資源分野の民間投資や公共インフラ投資が経済を下支えしているが、消費の見通しが不透明としている。

豪中銀ロウ総裁は、2017年12月時点では「今後数年の経済成長率が平均3%に上向く」。9月時点では「過去数カ月、豪ドルが対ドルで上昇している」と通貨高に懸念を表明。当面低金利を維持して豪経済を下支えする考えを示した。7月時点では「一部都市の住宅価格が大幅に上昇している」と懸念を表明した。


【韓国】
2018年7月12日、政策金利を1.5%に据え置いた。2017年11月に利上げした効果を見極める。韓国経済は回復基調だが、ウォン高で物価が上がっておらず、追加利上げを急ぐ必要はないと判断した。また、米国による韓国への通商圧力の強化や米GM韓国法人の現地生産縮小が景気の下方リスクと指摘し、利上げを見送った。中銀は2018年の経済成長率を3%から2.9%に引き下げた。


【フィリピン】
■2018年6月20日、政策金利の翌日物借入金利を3.5%を中心とする3~4%に引き上げた。

■2018年5月10日、政策金利の翌日物借入金利を3.25%を中心とする2.75~3.75%に引き上げた。1月の物品税やガソリン税の引き上げもあり、インフレが加速。物価抑制に向けて利上げする。

2018年3月時点では、物価上昇について中銀は「物価上昇は緩やかで政府目標の2~4%の範囲内に収まるとみている」としていた。
 

【インドネシア】
■2018年6月29日、政策金利を4.75%から5.25%に引き上げた。通貨ルピア相場が軟調に推移しているため、通貨防衛のために利上げした。米中貿易摩擦の影響で投資家心理が悪化。相対的にリスクの高いインドネシアの国債市場や株式市場から外国人投資家が資金を引き上げていることも影響した。

■2018年5月30日、臨時の金融政策決定会合を開き、政策金利を4.5%から4.75%に引き上げた。通貨ルピアの相場が軟調に推移しており、通貨防衛のためにさらなる利上げが必要と判断した。

インドネシア中銀は、米国の利上げやバランスシート縮小による通貨ルピアの下落を警戒している。


【ニュージーランド】
2018年6月28日、政策金利を1.75%に据え置いた。


【マレーシア】
2018年7月11日、政策金利を3.25%に据え置いた。1月に政策金利を変更し、続けて金融政策を変更する必要はないと判断した。

■2018年1月25日、政策金利を3%から3.25%に引き上げた。経済成長率が6%を超えており、経済が堅調な間に金融政策の正常化を図る。

マレーシアは歳入の30%を石油関連産業から得ている。原油価格の下落局面では財政悪化が見込まれる。


【インド】
■2018年6月6日、政策金利を6%から6.25%に引き上げた。原油高や通貨ルピー安を背景に物価が上昇しているため、利上げでインフレ抑制を狙う。

インドは原油の国内利用の80%を輸入している。原油価格が上昇すれば、物価水準を押し上げる可能性がある。


【ブラジル】
2018年6月20日、政策金利を6.5%に据え置いた。米長期金利の上昇を受け、ブラジルを含む新興国からの資金流出が進行。通貨レアルが対ドルで急落しており、利下げ路線にブレーキが必要だと判断した。

■2018年3月22日、政策金利を6.75%から6.5%に引き下げた。2017年末にかけて緩やかな上昇傾向にあったインフレ率が再び低下。利下げ余地が拡大したと判断した。野菜などの豊作により、食料品の価格上昇が抑えられたという。

■2018年2月7日、政策金利を7%から6.75%に引き下げた。中銀は「世界経済は成長している」。新興国に向かう資金の流れに変化はないとした。また、2018年末の政策金利の予想を6.75%とし、2016年10月から続く金融緩和が出口に近づきつつあることを示した。


【タイ】
2018年6月20日、政策金利を1.5%に据え置いた。中銀は「以前の想定を上回るペースで経済が成長している」「家計収入の増加や雇用拡大の恩恵が広く行き渡っているとは言えず、購買力の改善は緩やかにとどまっている」とし、緩和的な政策を継続することが経済成長に役立つと判断したとしている。

米国の利上げによる影響も、タイはGDPの1割前後に上る経常黒字を背景に通貨タイバーツの下落は緩やか。タイ中銀が利上げを急がなくてはならない状況にはないとしている。


【ロシア】
2018年6月15日、政策金利を7.25%据え置いた。また、付加価値税を18%から20%と2%引き上げる意向を表明した。増税が実現すれば、中銀にとって利上げが一段と困難になる可能性があるという。中銀は「付加価値税の引き上げを考慮し、物価見通しを引き下げた」「インフレとインフレ期待を巡る財政政策上の措置の提案を踏まえると、中立的な金融政策への移行はより緩やかである必要がある」としている。


■2018年3月23日、政策金利を7.5%から7.25%に利下げした。2018年のインフレ率が3~4%になると予測しており、さらなる利下げが可能と判断した。

■2018年2月9日、政策金利を7.75%から7.5%に利下げした。インフレ率が2%台と低水準にとどまっており、さらなる利下げが可能と判断した。