東芝は、2017年2月14日、4-12月期が4999億円の赤字になったと発表した。米子会社ウエスチングハウス(W)を中心に原子力事業で7125億円の損失が発生。2016年末時点で自己資本が1912億円のマイナスと債務超過になった。2017年3月期の最終損益は3900億円の赤字となる見通し。

WHが買収した建設会社でコストが想定よりも大きく膨らんだ。作業効率の低下や物量増加などで労務費が37億ドル(約4200億円)、資材価格の上昇などで調達コストが18億ドル(約2050億円)増えた。のれんは想定していた105億円から6253億円と拡大。過去の買収案件ののれんも含めて全額を損失処理した。

原子力事業では、国内では廃炉や保守作業を続ける一方、海外の新設工事からは撤退する方針。WHの出資比率87%の引き下げも検討する。

債務超過により、東京証券取引所の規定では、上場市場が東証1部から2部に変更。1年後に債務超過が解消できなければ上場廃止になる可能性がある。東芝は、債務超過の回避を目指し、メモリー事業を分社して新会社の株式を企業や投資ファンドに売却する。経営兼維持のため、20%未満の株式売却を計画していたが、売却比率を柔軟に変更する姿勢を示した。他の保有資産の売却も進め、債務超過を回避できる1500億円以上の純利益積み増しを目指す。

なお、14日に予定していた四半期報告書の提出期限を1ヶ月間延長。WHによる米原子力建設会社の買収で不適切な行為が判明し、継続調査が必要になった。


東芝 4-12月期に1912億円の債務超過

  4-12月期 通年見通し
純利益 ▲4999億円 ▲3900億円
株主資本 ▲1912億円 ▲1500億円
資金調達目標 1500億円以上 メモリー事業や保有資産の売却