東芝は、2019年4月11日、米国産液化天然ガス(LNG)事業を売却する予定だった中国ENNグループから契約を解除する意向を受けたと発表した。2019年2月13日公表の2018年度業績予想には、売却完了を前提に約930億円の損失計上を見込んでいた。

東芝には、米国産シェールガスプロジェクト「フリーポートLNGプロジェクト」で最大約1兆円の損失リスクが存在する。

東芝は、2013年9月、米フリーポート社と天然ガスの液化加工契約を締結。フリーポート社に年400億円を支払い、フリーポートの液化基地で生産するLNGを2019年から20年間引き取る。引取量は年220万トン。

しかしながら、2015年からの原油価格の下落で米国産LNGが原油より割高に転じ、日本での販売活動が不調。海外でもLNGは供給過剰にある。

調達したLNGの全量を東芝が販売できれば問題ないが、電力会社などの顧客を獲得出来なければ、売れ残ったLNGは損失要因に転じる。

フリーポートLNG社と締結した契約では、LNGを引き取れない場合でも、東芝は年間400億円の支払い義務を負う。資源ビジネスでは一般的な慣行で、違約金を支払っても契約を解除することは認められない。