スマートメーターとは双方向通信機能を持つ次世代型電力計。現在の電力計は1ヶ月ごとの電力使用量を計測するが、スマートメーターは30分ごとに把握できる。そのため、より柔軟な電気料金の提案が可能になる。 経済産業省は電力会社が支払う一般家庭用電力計検定料を2014年下期までに370円から240円に値下げする方針。従来の機械式メーターは値上げし、スマートメーターの普及を促す。

また、大手電力会社は、2016年4月までに家庭の電力使用データを新電力に開放する方針。新電力は電力会社がスマートメーターから集めたデータを使い、幅広い料金プランを作れるようになる。

東芝と東京電力は電力メーターなどの計器事業を統合し、海外進出を計画。大崎電気は通信機能付き次世代電力量計を開発。日立は関西電力が始める自動検針システムに参画。東京電力は2010年度から通信機能を備えたスマートメーターの実証実験を開始。検証後、東電エリア2700万件に導入する見通し。富士通は独自開発の無線内蔵スマートメーターや電力量管理システムに進出し、2014年度までに1000億円の売上を目指す。東芝は2011年5月に世界最大手ランディス・ギア(スイス)を1900億円で買収している。


スマートメーター関連銘柄

コード 企業 内容
6502 東芝 2011年5月に世界最大手ランディス・ギアを買収
2013年5月に東京電力の「スマートメーター用通信システム」を受注
6503 三菱電機 スマートメーターで節電システム
6644 大崎電気 通信機能付き次世代電力計を開発
6501 日立 スマートメーターの制御・管理システムで中部電力のシステム詳細検討の委託先に決定
6702 富士通 独自開発の無線内蔵スマートメーターや電力量管理システム
6617 東光高丘HD 埼玉県にスマートメーター新工場を66億円で建設。2014年7月に稼動

【東芝】
東芝は2013年5月に東京電力のスマートメーター用通信システムを受注。その後、2015年に発覚した不適切会計で、スマートメーター用システムが255億円の減益要因となった。

東京電力はスマートメーターの設置を2014年4月から本格化。2014年には190万台、2015年以降は320万台ずつ設置し、2020年に全2700万世帯に設置する計画。一方、東芝は2700万世帯の電力データを収集し管理する能力が必要にもかかわらず、最大でも800万世帯しかカバーできないもよう。

東芝が抜本的な改善策を示せなければ、東京電力は2015年10月にもシステムの再開発を決める見通し。東芝側の追加負担額がどこまで膨らむかが焦点となる。


また、東芝の子会社ランディス・ギアは2014年10月にブラジル配電会社に約110万台を供給する契約を締結。受注額は約340億円で2019年までに提供する。2013年には英ブリティッシュガス向けに2020年までに約1000万台を供給する契約に締結。2014年9月にはフランス電力公社の配電子会社向けに約100万台を供給する契約を結んだ。今後は南米など新興国を開拓し、欧米の競合に対抗する。

内容
2014年 10月 ブラジルに約110万台供給
9月 フランスに約100万台を供給
2013年 イギリスに約1000万台を供給


【三菱電機】
電力利用者や使用時間などの膨大なデータをスマートメーターで詳細に分析し、電力会社の求めに応じて整理・仕分けする節電システムを売り込む。電力需要量の予測や最適な料金体系を導き出す機能も盛り込む。これらの機能で電力使用量を10%減らせるという。情報システムの新規事業として2018年度に売上高を2013年度比30%増の2000億円に伸ばす計画。
 

スマートメーター導入計画

 【東京電力】
2014年4月から設置を本格化。2014年には190万台、2015年以降は320万台ずつ設置し、2020年に全2700万世帯に設置する計画。2014年の設置分は2013年11月に114万台を米GEと富士電機の合弁会社GE富士電機メーターと東芝・東光電気の共同出資会社の東光東芝メーターシステムズ、三菱電機の3社が落札。2013年12月に18万台を大崎電気工業と三菱電機の2社が落札した。

2014年度設置台数 落札数 落札者
190万台 114万台 GE富士電機メーター
東光東芝メーターシステムズ
三菱電機
18万台 大崎電気工業
三菱電機


【関西電力】
全世帯の15%である200万台を設置済み。2022年度までに1250万台を設置する。


【中部電力】
2013年11月26日、次世代電力計スマートメーターの全世帯940万台の導入完了時期を2023年3月までに完了すると発表。大規模工場や百貨店などへは設置済み。中規模工場やオフィスビル向けは2012年1月から設置を開始し、2016年度までに完了予定。一般家庭や小規模工場向けは2014年10月から一部地域で、2015年7月から全地域で設置を開始する計画。

対象 構成比 スケジュール
大規模工場、百貨店など 50% 全数設置済み
中規模工場、オフィスビルなど 20% 2012年1月~2016年度
小規模工場、一般家庭など 30% 2014年10月~2023年3月


【北海道電力・北陸電力・四国電力】
北海道電力と北陸電力、四国電力は共同でスマートメーターを調達。調達数量は約84万台。調達期間は2016年4月から2017年3月。

調達数 調達期間
84万台 2016年4月~2017年3月