有機ELテレビは、2013年末にソニーとパナソニックが提携を解消。韓国サムスン電子は有機ELテレビへの投資を中断し、当面は新製品を出さない方針に切り替えた。米調査会社NPDディスプレイサーチは有機ELテレビの世界出荷台数を2013年は2万台から5000台に、2017年は900万台から400万台に下方修正した。

有機EL照明では、次世代化学材料評価技術研究組合(CEREBA)が曲げられる有機EL照明の量産技術を開発。コニカミノルタは100億円を投資し、有機EL照明パネルの量産工場を建設。2014年秋以降にCEREBAの技術を用いた有機EL照明を量産する。パイオニアと三菱化学も2014年3月から有機EL照明モジュールの量産を開始した。有機EL照明器具の世界市場は2020年に3000億円になる見通し。

有機ELパネルでは、中小型液晶最大手のジャパンディスプレイが2014年春からスマートフォン向け有機ELパネルの試作を開始。200億円を投資し、材料や生産技術を検証。2015年に量産開始を計画している。


有機EL照明

三菱化学や住友化学、旭化成、富士フィルム、コニカミノルタなど13社・団体が出資する研究組織「次世代化学材料評価技術研究組合(CEREBA)は、曲げられる有機EL照明の量産技術を開発した。家具や自動車、航空機など内装のデザインを損なわすに張り付けられる。2014年秋以降にメーカーが日本国内で量産を始める。

企業 内容
コニカミノルタ 有機EL照明パネルの量産工場建設。2014年秋量産開始
パイオニア 2014年3月に有機EL照明モジュールの量産出荷を開始
三菱化学
東芝ライテック 2014年4月から家庭向け有機EL照明の受注販売開始

【パナソニック・出光興産】
2014年3月31日、パナソニックと出光興産が共同で立ち上げた有機EL照明パネル製造販売会社の営業を終了。出光興産の有機材料とパナソニックの電気制御技術を融合して有機EL照明パネルを製造する計画だったが、医療用など特殊用途では一定のニーズがあるものの、一般照明用では技術的な課題があった。


【コニカミノルタ】
2014年3月18日、山梨県に有機EL照明パネルの量産工場を建設すると発表。投資額は100億円。2014年夏に竣工し、2014年秋から量産を開始する。一般照明や建築分野に加え、電気機器や自動車への採用を見込む。CEREBAの曲げられる有機EL照明も量産する。2020年に売上高を500億円以上に増やす。


【パイオニア・三菱化学】
2014年3月、有機EL照明モジュールの量産出荷を開始。


【有機EL照明市場規模】
富士経済によると、国内の有機EL照明器具市場は2012年の11億円から2020年は1000億円。世界市場は2020年に3000億円になる見通し。

有機EL照明市場 2012年 2020年
日本 11億円 1000億円
世界 - 3000億円


有機ELパネル

【ジャパンディスプレイ】
中小型液晶最大手ジャパンディスプレイは、2014年春からスマートフォン向け有機ELパネルの試作を開始。石川県の工場に200億円投資。材料や生産技術を検証し、2018年に量産開始する計画。

企業 内容
ジャパンディスプレイ 2014年 スマホ向けパネル試作。月4000枚生産
2018年 量産開始


【ジャパンディスプレイ ソニー パナソニック】
ジャパンディスプレイとソニー、パナソニックが有機ELパネル事業で提携。タブレット向けの中小型パネルを共同開発する新会社を設立する。官民ファンドの産業革新機構が過半を、ジャパンディスプレイが20~30%、ソニーとパナソニックが約10%を出資する見通し。2014年6月に合意し、2年以内にタブレットやスマートフォン向けパネルの開発を目指す。 中小型有機ELパネルは韓国のサムスン電子がスマートフォン向けに生産し、世界シェア90%を持っている。


【出光興産 LGディスプレイ】
出光興産は、2014年12月11日、韓国LGディスプレイと有機ELパネル事業で提携したと発表。LGディスプレイは出光興産の有機EL材料を用いた製品開発を行い、中小型有機ELディスプレイやテレビ向け大型有機ELディスプレイの事業化を加速する。

出光興産は、韓国で有機ELパネル材料の生産能力を引き上げ。投資額は数億円。生産能力を2.5倍の年5トン、日本工場と合わせて7トンにする。韓国LGディスプレイが2016年1月に新工場を稼動させるなど生産を拡大していることから、需要増に対応する。


【韓国サムスンディスプレイ】
韓国サムスンディスプレイは、ベトナムの有機ELパネル工場への投資額を2兆3000億ウォン(約2400億円)積み増す。2020年までの総投資予定額を約3700億円とする。

スマートフォン用の中小型パネルを生産。サムスンディスプレーは韓国で基板に回路を形成し、有機ELを蒸着。半製品をベトナムに送り、スマートフォン本体とつなぐための端子などを取り付ける。

 

有機ELテレビ

 【ソニー・パナソニック】
2013年末で提携関係を解消。ソニーの有機EL技術とパナソニックの有機材料をパネルに塗布する技術を融合し量産する計画も、パネルの耐久性が確保できず、生産コストが下げられなかった。ソニーは有機ELテレビの商品化に向けた開発を当面凍結。4K液晶テレビに経営資源を集中する。パナソニックも有機ELディスプレイの量産を2015年度から2016年度以降に先送りする。


【韓国LG電子・サムスン電子】
韓国や北米で大型有機ELテレビを商品化。価格は韓国で1100万ウォン、米国で1万ドル(約100万円)以上と高額で販売に苦戦。 韓国サムスン電子は有機ELテレビへの投資を中断。2014年度中に専用生産ラインを設置する計画だったが中止した。有機ELの研究は続けるが、当面は新製品も出さない方針。


【有機ELテレビ市場の見通し】
米調査会社NPDディスプレイサーチは、2013年12月23日、2013年の有機ELテレビの世界出荷台数見通しを2万台から5000台に、2017年は900万台から400万台に下方修正した。

  2013年 2017年
有機ELテレビ出荷台数 2万台→5000台 900万台→400万台