米テスラ・モーターズは、大規模な電池工場ギガファクトリーを米国に建設する計画。総事業費は最大50億ドル(約5000億円)とみられる。パナソニックはギガファクトリーの建設で連携。ギガファクトリー内でテスラの大衆向け電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の生産を実施する。総投資額は1500億円から2000億円となるとみられている。

テスラのEVに搭載されているパナソニックの円筒型リチウムイオン向け電池材の生産能力増強投資が進行。徐々に稼動時期が近づく。関連企業の設備投資推移と事業推移、米テスラのギガファクトリー計画をまとめた。

住友化学

住友化学のリチウムイオン二次電池用セパレーターは、パナソニックの円筒型リチウムイオン二次電池への採用を通じ、米テスラモーターズの電気自動車(EV)に搭載されている。住友化学は、セパレーターの生産能力を段階的に増強し、2020年には2015年比で3倍に高める方針。投資額は数百億円規模を計画。なお、住友化学のセパレーターの世界シェアは5~10%、車載電池向けは約30%とみられる。

2014年4月、愛媛県の工場に50億円を投資すると発表。生産能力を2014年春に1.7倍、2014年秋に1.9倍、2015年春に2.3倍に増強する。2015年6月、80~90億円を投じ、韓国に工場を建設すると発表。稼動は2017年。自動車部品の関税撤廃を目指す米韓自由貿易協定(FTA)を活用し、パナソニックと米テスラが米国で建設する車載電池工場に出荷する見通し。

投資額 対象 生産能力・内容
50億円 愛媛工場 2014年春1.7倍、2014年秋1.9倍、2015年春2.3倍に増強
80~90億円 韓国で新工場 2017年に稼動

【住友化学 情報電子科学事業】
※光学製品、カラーフィルター、半導体プロセス材料、電子部材など

  2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
売上高 3277億円 3974億円 3037億円 3661億円 4096億円
営業利益 261億円 109億円 117億円 348億円 324億円
営業利益率 7.9% 3.6% 3.8% 9.5% 7.9%


住友金属鉱山

住友金属鉱山は、二次電池用正極材の1つであるニッケル産リチウムを生産。主にパナソニックに供給し、パナソニック製の円筒型リチウムイオン二次電池に使用。米テスラの電気自動車(EV)に採用されている。

2014年10月、愛媛工場に150億円を投資すると発表。生産能力を月850トンから月1850トンに増加させる。完成は2015年12月。また、兵庫の事業所でニッケル産リチウムの原料となる硫酸ニッケルも増産。投資額は50億円で、2016年10月までに生産能力を2.3倍の4.5トンに引き上げる。2014年11月、福島県に工場を建設すると発表。投資額は40億円で、2015年12月に完成する。

投資額 対象 生産能力・内容 稼動時期
150億円 愛媛工場 月850トン→月1850トン 2015年12月
50億円 兵庫の事業所 硫酸ニッケルを2.3倍の4.5トンに引き上げ 2016年10月
40億円 福島工場 ニッケル産リチウム生産 2015年12月

【住友金属鉱山 材料事業】
※半導体材料、テープ材料、電池材料、結晶材料など

  2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
売上高 2071億円 2006億円 1566億円 1533億円 1742億円
営業利益 53億円 14億円 37億円 110億円 129億円
営業利益率 2.5% 0.7% 2.4% 7.2% 7.4%


テスラのギガファクトリー計画

米テスラは大規模な電池工場の建設を計画。2020年には35ギガワット相当の電池セルを生産し、年間50万台の電気自動車に搭載する目標。総事業費は最大50億ドル(約5000億円)。2014年度にも新工場の建設に着手し、2016年に稼動する計画。

項目 内容
総投資額 5000億円
対象 大規模電池工場ギガファクトリーの建設
稼動 2016年
目標 2020年に年間50万台のEVに搭載

【テスラEV生産台数計画】
電気自動車(EV)の生産能力を引き上げる計画。2014年の3万5000台から2015年に5万2500台に増やす。搭載する電池セルは1台に約7000個を使うもよう。

  2014年 2015年 2020年
テスラEV生産計画 3万5000台 5万2500台 50万台