香港で、2015年7月上旬、2017年の次期行政長官選挙関連法案の採決が実施される。香港政府は、2015年4月22日に最終案を議会に提出。2014年8月31日に中国全国人民大会が決めた中国の中央政府の意向に沿わない人物の立候補を事実上認めない方針に沿った内容となっている。

立法会では新中国派議員の議席数が法案成立に必要な3分の2に足りないため、民主派議員27人から4人以上が賛成に回る必要があるもよう。一方、法案が否決された場合、中国政府は「改革はやり直さない」としており、1人1票の自由選挙ではなく、業界団体の代表だけで長官を選ぶ仕組みが継続する。

香港政府は「2017年に普通選挙を実現すれば、2022年以降の長官選で制度を修正する余地が残る」とし、世論へ働きかける方針。


次期行政長官選挙の最終案

業界団体の代表者ら1200人で構成する指名委員会を設け、第1段階では120~240人の推薦を得られれば、指名委の選考にエントリーができる。第2段階で指名委の投票で過半数の支持を獲得し、上位2~3位に入れば長官選に立候補可能になる。

一方、指名委のメンバーは中国本土とビジネス上の関係が深い企業幹部らが大多数を占める見通しで、中国政府の意向に合わない人物が長官選に立候補するのは事実上不可能となる。

項目 内容
第1段階 指名委の120~240人の推薦でエントリー
第2段階 指名委の投票で過半数の支持を獲得
上位2~3人に選出
指名委 中国本土とビジネス上関係が深い企業幹部が大多数


選挙制度を巡る主張

香港の民主団体「和平占中」は、2014年9~12月に民主派からの立候補を事実上排除する中国の決定を批判し、香港中心部の金融街を座り込みで占拠する抗議活動を行った。

2014年10月21日、香港政府と和平占中は選挙制度改革を巡る対話を実施。和平占中側は、2017年の次期行政長官選挙で立候補制限の撤回を要求した。また、業界団体ごとに指名委員を選ぶ従来の方式を見直し、民意を反映した仕組みに変えるべきと要求。有権者の1%以上の署名を集めれば誰でも立候補できる「有権者指名」の導入を求めた。

香港政府側は、「中国の決定は法的に有効」とし見直しは困難とした。有権者指名については「(香港の憲法にあたる)基本法違反で絶対に不可能」と拒否した。一方、「中国の決定は永遠に適用されるわけではない」とし、2022年以降の長官選で制度を再び見直す可能性を示唆した。また、将来の選挙制度改革に向けた各界の代表による会議の設置に前向きな姿勢を示し、指名委員会の選出方法などについて和平占中と対話を続ける意向を示した。

  香港政府 学生団体
立候補の条件 中国の決定は法的に有効 立候補制限の撤回
2022年以降の長官選で制度を見直す可能性
選挙制度改革に向けた会議設置を検討
有権者指名 基本法違反で絶対に不可能 有権者の1%以上の署名で誰でも立候補
指名委員会の選出方法を学生団体と対話継続