米国の天然ガス市場で、需給が引き締まるとの観測がある。
米国ではシェールガスの生産が伸び悩んでいる。ガス価格が開発・生産コストとされる100BTUあたり4~6ドルを割り込み、採算の悪化した資源各社がガス生産を大幅に縮小しているため。
米調査会社によると、2013年5月時点で天然ガスの掘削装置の稼働数は350と前年同月比で3割減った。米エネルギー情報局(EIA)が試算する米国のガス生産量は、2013年日量699億立方フィートと前年比1%増、2014年も2013年予想比0.3%増と大きく変動しない見通し。
需要面では米国経済の回復期待もあり、2013年のガスの消費量は2010年比5%増の日量701億立方フィートに拡大する見通しで、天然ガスの在庫水準は前年割れが続くとされる。
一方で、天然ガス価格が5ドルを超えて上昇すると、発電部門で競合する石炭への切り替えが増加する可能性が高くなる水準であり、この近辺の価格が意識される可能性がある。
米ゴールドマン・サックスは、米国は2020年まで石炭火力から天然ガス火力への切り替えなどで、最大で日量210億立方フィートの需要増が見込まれると試算している。需要拡大に対し生産量が増えなければ、需給の引き締まりから長期的にガス価格が上昇する可能性がある。