スリーディーマトリックスは、2015年7月7日、新規siRNA核酸製剤「TDM-812」を用いて乳がんを対象とした治験を開始したと発表した。抵抗性乳がんで体表から触知できる局所腫瘤を有する患者が対象。TDM-812を皮下の腫瘤に局所投与した際の安全性評価を行う。
siRNAと呼ばれる核酸医薬は、がん細胞を生み出す元となるRPN2遺伝子の発現を減らす働きをする。一方、siRNAをはじめとする核酸医薬は生体内で容易に分解され、作用が発揮されないという問題がある。TDM-812はスリーディーマトリックスの基盤技術の1つである界面活性剤ペプチドA6Kを使用。薬剤到達の課題解決が期待されている。
なお、治療抵抗性の局所進行・再発乳がんでは、病巣が皮膚に進展すると巨大な腫瘤を形成したり、皮膚の一部欠損が生じることがある。それにより局所の痛みや出血、悪臭、浸出液などが生じる。既存治療では対応が困難な局所病変を制御することで、患者の生活の質を改善することが求められている。