ベネッセホールディングスは、2014年7月9日、通信教育講座「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」の利用者など顧客情報760万件が漏洩したと発表した。漏洩した情報は名前や住所、電話番号など。クレジットカードや銀行口座の情報漏洩は確認されていない。7月17日にシステム運営の委託先元社員が不正競争防止法の容疑で警察に逮捕された。

ベネッセは当面社内で管理するデータベースの稼働を凍結。新規会員獲得のためのコマーシャルも自粛する。7月15日づけで外部弁護士や不正アクセス防止の専門家による「個人情報漏洩事故調査委員会」を設置した。

また「お客さま本部」を設立。顧客が情報提供した覚えのない会社からのDMや電話に対し、相手側会社への利用停止や不正取得した名簿の第三者機関への提出を呼びかけ。ベネッセからの郵便物に顧客の同意を明記。不正取得が判明した場合に入手ルートを解明。個人情報保護に関する啓蒙活動を行う。

さらに顧客への謝罪対応のため、200億円の原資を準備。お詫びの品や受講料の減額など様々な方法を検討している。

  内容
対応 個人情報漏洩事故調査委員会を設置
お客さま本部を設立
謝罪対応に200億円を準備


業績 

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2014年(予) 4860億円 350億円 213億円 - - -
2013年 4663億円 352億円 199億円 2151億円 4875億円 42.9%
2012年 4501億円 389億円 211億円 2074億円 4602億円 43.7%
2011年 4237億円 346億円 163億円 1941億円 4320億円 43.5%
2010年 4128億円 447億円 205億円 1927億円 4051億円 46.2%

【会員数】

  2010年 2011年 2012年 2013年
進研ゼミ 4593万人 4559万人 4527万人 4267万人


主要株主の動き 

資産運用会社ブラックロック・ジャパンは、2014年8月6日付けの大量保有報告書で、ベネッセホールディングス株の保有割合を5.5%から3.9%に縮小したと発表した。

項目 内容
ブラックロック・ジャパン 5.5%→3.9%


経営計画 

2016年度に売上高6000億円、営業利益600億円を目指す。国内では少子高齢化が進行し、塾をはじめとした競合との競争が激化する一方、ITの進化により教育手段のイノベーションが起きている。

ベネッセホールディングスは収益構造の抜本的な見直しを行うため、進研ゼミ事業のビジネスモデルやマーケティングモデルの早急な転換、成長領域へのグループ資産の集中、新規事業の開発などを実行し、2015年末までに営業利益10%と100億円のコストダウンを達成するとしている。

  2016年度
売上高 6000億円
営業利益 600億円
海外売上高比率 25%
ROE 12%以上

【株主還元】

項目 内容
配当性向 35%以上
自己株式 発行済株式総数5%を目安に保有
超過分は消却

【進研ゼミ改革】
 紙の教材とタブレットPCなどデジタルを組み合わせたサービスを投入。小学講座と中学講座の全学年で2014年に投入する。通信教育、学校向け教育事業、学習塾などの既存資産にデジタルの特性を掛け合わせ、会員数の回復を目指す。