富士フイルムホールディングスは、2018年1月31日、米ゼロックスを買収すると発表した。富士フイルムホールディングスが75%を出資する富士ゼロをゼロックスが完全子会社化した上で、富士フイルムホールディングスがゼロックスの第三者割当増資に応じて50.1%を出資する。買収後の売上高は約3.3兆円となり、事務機部門の売上高も米HPを抜いて世界最大のメーカーとなる。2018年秋にも買収を完了する計画。

両社の事務機器事業は、富士フイルムホールディングス傘下の富士ゼロがアジア太平洋を、米ゼロックスが欧米を中心に事業展開するなど担当地域を明確に分けているため、両社とも事業拡大の制約があった。統合することで、製品開発や販売戦略を統一し、新興国市場を共同開拓する。研究開発から販売・物流まで一体運営することで資産効率を高め、コスト削減も進める。

事業面では、富士フイルムホールディングスが持つ画像処理などの先端技術とゼロックスが持つAIやネットワーク技術を融合し、複合機を中心に顧客企業の業務を効率化するサービスなどを共同開発する。

2021年3月期に年間約1300億円の利益押し上げ効果を見込むという。

2018年4月27日、米ニューヨーク州上級裁判所は、富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの買収提案について手続きの一時停止を命じた。富士フイルムは大幅な戦略の見直しを迫られる可能性がある。


富士フイルム 米ゼロックス買収で世界展開加速

項目 内容
対象 米事務機大手のゼロックスを買収
取得比率 富士フイルムHDがゼロックス株の50.1%を取得
取得時期 今秋


 富士フイルムの米ゼロックス買収での攻防

【米裁判所が差し止め】
米ニューヨーク州上級裁判所は、2018年4月27日、富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの買収提案について手続きの一時停止を命じた。富士フイルムの提案を受け入れたゼロックスのジェフ・ジェイコブソンCEOの判断と取締役会の監視体制に不備があったと認定した。ゼロックスの大株主のダーウィン・ディーソン氏が買収の差し止めなどを求めて裁判所に提訴していた。


【米ゼロックスと大株主が和解 代替案を作成へ】
米ゼロックスは、2018年5月1日、富士フイルムホールディングスによる買収提案を見直すと発表した。大株主のカール・アイカーン氏らと和解した。大株主が提案した6人の取締役候補を受け入れ、ジェフ・ジェイコブソンCEOら現在の7人の取締役が辞任する。新たな経営陣は過半をアイカーン氏らの推薦者が占めることになる。新たな経営陣と大株主が主導して代替案を練る。

富士フイルムは、「契約は法的拘束力を持ち、ゼロックスの新経営陣にも履行を求めていく」としている。


富士フイルムホールディングスの業績推移

  売上高 営業利益 純利益 株主資本 総資産 株主資本比率
2017年(予) 2兆4600億円 1300億円 1400億円 - - -
2016年 2兆3221億円 1722億円 1315億円 2兆435億円 3兆5331億円 57.8%
2015年 2兆4603億円 1822億円 1164億円 2兆148億円 3兆3119億円 60.8%

 

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