テラは、樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん治療技術の医療機関への提供や細胞加工施設の運営受託、保守管理サービス、消耗品の販売を行っている。大学病院をはじめとした医療機関に樹状細胞ワクチン療法の技術・ノウハウを提供。樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認を得るための取組を推進している。


樹状ワクチン療法とは

がんと診断された場合、一般的に手術、抗がん剤治療、放射線療法の3つの治療が検討される。しかし、これらの治療だけでは治療できないがんがあり、第4の治療法としてがん免疫療法がある。樹状細胞ワクチン療法は、がん免疫療法の1つで、がん細胞のみを特異的に攻撃できる療法となっている。


テラの樹状細胞ワクチンに関する主な動き

・2013年12月、樹状ワクチン「バクセル」の薬事承認を得るための取組を進めるため、子会社「テラファーマ」を設立。ヘリオスと共同開発することも発表した。患者の血液を採取せず、がん細胞を攻撃する細胞を作り出すことを目指す。

・2015年7月、東京慈恵会医科大学とiPS細胞を用いた樹状細胞を作製する共同研究を開始すると発表。iPS細胞から樹状細胞を分化誘導させる技術開発をすることで、医薬品などを汚染するエンドトキシンなどの検出法の確立を目指す。

・2014年12月、福島県立医科大学と委託契約を締結し、樹状ワクチン療法の技術・ノウハウを提供。2015年9月、福島県立医科大学付属病院は樹状細胞ワクチン療法で治療を開始。治療対象は胃がん、食道がん、肺がんとなっている。

・2016年12月、和歌山県立医科大学と医師主導治験に関する契約を締結した。和歌山県立医科大学は、樹状細胞ワクチンの膵臓がんに関する再生医療等製品として治験を開始。


目標

2022年度内の薬事承認申請を目指す。上市後の想定マーケットは、国内膵臓がん罹患患者数である3万4700人のうち、年間5000人以上と見込んでいる。


研究

・2018年3月、和歌山県立医科大学チームは、樹状細胞を使い、がんを破壊することに成功したと発表した。がん患者から取り出せる樹状細胞は数が少なく、働きが低下しているのが課題だった。がん患者のiPS細胞から作った樹状細胞は、健常な人の樹状細胞と同様の高い免疫機能を望めることに着目。人のiPS細胞から作製した樹状細胞を試験管内で胃がんや大腸がんと混ぜたところ、1~3割のがん細胞が消失したという。また、マウスのiPS細胞から作った樹状細胞を皮膚がんのマウスに投与した実験では、がんが約7割破壊されたという。