キヤノン電子は、主力のカメラやプリンター部品の技術を転用した安価な衛星で、拡大する宇宙市場の開拓を狙う。2030年の宇宙事業の売上高目標を1000億円としている。
格安衛星と衛星画像データ販売
キヤノン電子は、2017年6月23日、小型人工衛星の打ち上げに成功した。自動車や建物、農地などの大きさや数を正確に判別でき、商業用途で幅広く活用できる画像データが取得できるという。2年間の実証期間を経て、宇宙からでも十分な性能を得られることを実証。衛星本体の販売や衛星画像データ販売などにつなげる。衛星で撮影する画像データは、自動運転技術の開発や災害対策などで活用できるという。 今回の衛星は、主要部品の6割を内製。最終目標は100%の内製化という。耐久性と安さが求められる民生用機器の技術を転用し、1基数百億円する大型衛星よりはるかに安い1基10億円以下の価格にする。
項目 | 内容 |
衛星価格 | 10億円以下 |
衛星画像データ | 商業用途で幅広く活用 自動運転や災害対策など |
実証期間 | 2017年~2018年 |
小型衛星専用打ち上げサービス
キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行の4社は、2017年8月9日、小型ロケットを開発する新会社「新世代小型ロケット開発企画」を設立したと発表した。2017年末にも小型衛星専用の打ち上げサービスの受注を始める。打ち上げ費用は10億円以下を目指す計画。日本の大型ロケットの打ち上げは50億円以上と高額なうえ、発射場の制約から2017年度で最大8機にとどまるという。4社は、低価格や打ち上げ機会の多さという民間の強みを活かし、今後増加が見込まれる日本国内の打ち上げ需要を掘り起こす。
項目 | 内容 |
受注開始 | 2017年末 |
打ち上げ費用 | 10億円以下 |
キヤノン電子の業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2017年(予) | 850億円 | 65億円 | 48億円 | - | - | - |
2016年 | 832億円 | 79億円 | 55億円 | 815億円 | 1031億円 | 78.9% |
2015年 | 893億円 | 106億円 | 69億円 | 785億円 | 1017億円 | 77.1% |
2014年 | 954億円 | 105億円 | 73億円 | 759億円 | 1015億円 | 74.8% |
2013年 | 980億円 | 108億円 | 72億円 | 739億円 | 960億円 | 76.7% |