2016年10月16日、新潟県知事選で東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働を「認められない」としてきた米山隆一氏が当選した。柏崎刈羽原発の原子力規制委員会による安全審査は終盤。2017年前半にも合格する可能性がある。大幅な収支改善が見込まれる同原発の再稼働が遅れれば、東京電力ホールディングスの経営再建に打撃となる。

また、経済産業省は、2016年10月から福島第1原発の事故処理にかかる兆単位の追加コストをどう負担するかを検討。廃炉費用は原則的に東京電力が負担するとしているが、年2400億円の収支改善を見込む柏崎刈羽原発が動かなければ東電の負担余力は細る。

福島第1原発の事故処理費用は、政府が9兆円まで交付国債を発行して立て替える仕組みを2014年に設置。うち、5.4兆円と見込んだ被災者への賠償費用は東電と関西電力、中部電力などほかの電力会社が共同で負担する。除染費用の2.5兆円は国が持つ東電株の売却益を充てる計画。

一方、賠償費用は6兆円を超え、除染費用も2.5兆円を上回ることが確実視されている。原子炉内の核燃料の取り出しといった廃炉作業には9兆円とは別の費用がかかる。東電が廃炉費用として自前で確保のめどをつけた2兆円では収まりきらない。