コマツの経営計画。

コマツは中国など新興国市場は、2013年から2016年頃まで大きく成長しないとし、当期間を足元を固め、将来の成長に必要な設備投資やM&Aに備える期間と位置づけ。工場での消費電力の削減やICTによる製造原価圧縮など土台強化のための構造改革を実行した。

2016年から2018年の経営計画では、新興国の成長鈍化や原油など資源価格低迷の影響で、需要は当面停滞を前提。鉱山機械や新興国需要は2017年度以降に回復することを想定している。

需要が低迷する中でも、機械稼働管理システム(KOMTRAX)やスマートコンストラクション、無人ダンプトラック運行システムなどコマツのIoTのさらなる活用などで成長を加速させる。また、リテーリングファイナンス事業を新たな事業セグメントとして独立。KOMTRAXから得られる機械の稼働情報や位置情報を与信管理に生かす。


2016年~2018年の経営計画

項目 内容
成長性 業界水準を超える成長率
収益性 業界トップレベルの営業利益率
効率性 ROE10%レベル
株主還元 配当性向40%以上。60%を超えない限り減配しない
健全性 業界トップレベルの財務体質


主な原価低減の取組

内容 投資額 コスト削減効果
小山工場と大阪工場で消費電力を50%以上削減 200億円 2017年までに300億円
ICTで製造原価を圧縮 100億円 2017年までに150億円


【消費電力を50%以上削減】
栃木の小山工場と大阪工場で消費電力を50%以上削減する。投資額は約200億円。2017年までに約300億円の原価低減を目指す。

エンジンの生産施設の建屋の改装や冷たい地下水を空調に使用、排熱を活用した発電の導入など、照明や空調、送配電で節電を推進。子会社のコマツNTCと開発した工作機械の導入や生産工程集約で、省エネや加工時間を短縮する。

 
【ICTで原価低減】
ICTを活用し、生産から販売まで全ての工程をリアルタイムに連携・循環する体制を構築する。投資額は約100億円。2017年までに約150億円の原価低減を目指す。

工場における工作機械やロボットなどの生産設備、生産ラインの稼働情報をIoTで見える化し、共有データベースに集約。顧客に納入した建設機械の稼働状況を通信網を通じてコマツの工場と共有。集約された情報に基づき、生産時間の短縮や在庫を圧縮する。


建機需要推移

  2014年 2015年 2016年(予)
主要7建機 ▲10% ▲14% ▲5~▲10%
地域別 日本 ▲21% ▲18% ▲8~▲13%
北米 10% ▲6% ▲5~▲10%
欧州 11% 3% 0~5%
中国 ▲38% ▲36% ▲20~▲25%
東南アジア ▲18% ▲15% 0~▲5%
鉱山機械 ▲26% ▲16% ▲15~▲20%

 

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