カネカは、2014年9月10日、国立循環器病研究センターと共同で再生・細胞関連事業を開始したと発表した。羊膜由来間葉系幹細胞を使用し、急性移植片対宿主病とクローン病を対象とした治験を実施。2022年に細胞製剤の製造・販売の承認を取得。2037年に1000億円規模の事業を目指す。

羊膜由来間葉系幹細胞とは、羊膜に存在する未分化の細胞。筋肉・骨・軟骨・脂肪など様々な細胞に分化する能力や自己複製能力を持ち、免疫抑制作用がある。また、増殖性が高い、移植時に拒絶反応が起きにくい、羊膜は出産後不要となり倫理的にも問題になりにくいという特徴がある。

カネカは神戸市に細胞の調製・保存が可能な製造所を設置。網膜由来間葉系幹細胞の大量培養・冷凍保存技術の確立。急性移植片対宿主病とクローン病を対象に治験を実施。2022年に細胞製剤の製造・販売承認取得を目指す。

【急性移植片対宿主病】
骨髄移植など造血幹細胞移植における副作用で、紅斑、肝障害、下血などを引き起こす難治性免疫関連疾患。日本では年間3000例以上の造血幹細胞移植が行われており、そのうち50%以上の確率で急性移植片対宿主病が発症している。

【クローン病】
小腸や大腸に炎症や潰瘍を引き起こす、若年者に多く発症する原因不明の炎症性腸疾患。日本では現在3万人以上が認定されている。


カネカ 細胞医薬品事業に参入

内容
2014年7月 細胞医薬品開発事業を開始
2022年 細胞製剤の製造・販売承認取得
2037年 1000億円の事業規模へ