国立成育医療研究センターと慶應義塾大学の研究グループは、受精卵をもとに作る万能細胞の胚性幹細胞(ES細胞)から、若年期にできるがんの一種「胚細胞腫瘍」を作ることに、マウスの実験で成功した。 胚細胞腫瘍は精巣や卵巣にできるが、詳しい原因は解明されていない。今回の成果で、正常な細胞ががん細胞になる仕組みの解明や、新しい抗がん剤の開発に役立てる。 研究グループは「βカテニン」というタンパク質に着目。このタンパク質を持たない受精卵からES細胞を作製し、マウスに移植したところ、悪性の胚細胞腫瘍ができたという。 βカテニンをなくしたES細胞は、通常のES細胞と異なり、さまざまな細胞に変化できる万能性を失っており、βカテニンにはES細胞の分化を制御する役割があるとみられている。 【[iPS細胞関連情報へ[1987]]】