京都大学・斉藤通紀教授らの研究チームは、2013年8月5日、様々な種類の細胞に変化できるマウスES細胞(多能性胚細胞)から3種類の遺伝子を用いて卵子や精子の源になる細胞を作ることに成功した。この細胞を不妊の雄マウスの精巣に移植したところ、正常な精子が形成。この精子を正常な卵子と体外受精させたところ、健康なマウスが誕生した。マウスは正常に成長し、子供を作る能力があることも確認された。今回特定された3種類の遺伝子は、人間でも同じように働くとみられていることから、不妊症の原因の解明や治療法研究への応用が期待される。 研究チームはこれまで、精子や卵子が作られる時に働くタンパク質を、マウスのES細胞やiPS細胞に加える方法で卵子や精子の源になる細胞の作製に成功していた。ただ、その際に働く遺伝子は特定できず、作製効率も20%から10%と低かった。今回の方法で効率は8倍kら4倍にアップしたという。 一方、こうした精子や卵子の生殖能力を確認するには受精が必要との指摘がある。しかしながら、文部科学省は、ヒトのES細胞やiPS細胞から精子や卵子をつくることは認めているが、受精は禁止している。政府の総合科学技術会議は、2013年6月、ヒトのiPS細胞から作った精子や卵子を用いた受精卵の作製の是非について議論していく方針を示している。