出光興産は、2016年6月28日、株主総会において創業家グループから取締役選任議案に反対票が投じられ、昭和シェルとの合併に反対の意見表明を受けたと発表した。創業家グループは昭和シェルには労働組合があることやサウジアラビア国営のサウジアラコムが出資していることなど企業文化や事業戦略に違いがあり、合併しても相乗効果が得られないとしているもよう。創業家グループは議決権ベースで33.92%を持つと主張。経営側は合併案が受け入れられるよう説得を続ける方針。

合併には臨時株主総会で3分の2以上の賛成が必要になる。出光興産は、2016年9月中に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株の約33%を1691億円(1株あたり1350円)で取得予定を2017年1月に延期。2016年末には臨時株主総会を開催。2017年4月に両社の株式を交換する形で合併する方針。

出光興産と昭和シェル石油は、2016年10月13日、2017年4月の合併を延期すると発表。創業家の説得を続け、1年以内には合併を実現する考え。


【出光と昭和シェルの合併スケジュール】

  スケジュール
2016年9月→2017年1月 昭和シェル株の約33%を取得。取得額は1691億円(1株あたり1350円)
2016年末 臨時株主総会
2017年4月 株式交換で合併→延期へ 1年以内の実現を目指す


出光興産と昭和シェル石油 経営統合の基本合意内容

出光興産と昭和シェル石油は、2015年11月12日、合併方式による経営統合で基本合意した。両社は全国で7製油所と約7000カ所の給油所を保有。2016年10月から2017年4月をめどに統合新会社を設立。ガソリンなどの供給で重複する地域の集約や原油調達・製品輸送などのコストを低減。5年目に年間500億円の統合効果を目指す計画。

国内の収益力をてこ入れし、出光興産が製油所を建設中のベトナムなど海外市場への展開を加速させる。

項目 内容
統合効果 5年目に年間500億円
戦略 国内の収益力をてこ入れ。ベトナムへの展開を加速


出光販売店 合併推進を要望

出光販売店で作る全国組織は、2016年9月29日、理事会で出光興産と昭和シェルの合併推進を求めることを決定した。また、7月以降中断している経営陣と創業家の協議再開を求めることも決定。創業家に対して全国出光会と対話の場を設けることも要請する。

創業家は歩み寄る姿勢をみせないと、販売店の離反を招きかねない可能性が出てきた。


ベトナムのニソン製油所建設

出光興産が主導するベトナムで建設中のニソン製油所は、事業総額90億ドル(約9800億円)。原油精製能力は日量20万バレル。2013年10月に着工し、2016年に完工。2017年の商業運転開始を目指している。製油所事業とともに、ガソリンや軽油の小売りにも参入。原油供給からガソリン販売まで一貫して手がけることで収益向上につなげる。

また、出光興産はニソン製油所の稼働後に精製能力を2倍の日量40万バレルにすることを検討しているもよう。ベトナムには現在、製油所が1つしかなく、原油精製能力は日量14万バレル。2017年にはベトナムでの需要が50万バレル以上に伸びると予測されている。需要動向を見極めて事業規模を拡大する。

項目 内容
事業 ベトナムで製油所建設
事業総額 9800億円
原油精製能力 日量20万バレル
商業運転開始 2017年


出光興産と昭和シェルの業績推移

 【出光興産】

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(予) 3兆2600億円 1120億円 700億円 - - -
2015年 3兆5702億円 ▲219億円 ▲359億円 5376億円 2兆4021億円 20.8%
2014年 4兆6297億円 ▲1076億円 ▲1379億円 6303億円 2兆7310億円 21.5%


【昭和シェル石油】

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(予) 1兆6800億円 360億円 160億円 - - -
2015年 2兆1776億円 ▲132億円 ▲274億円 2433億円 9576億円 23.2%
2014年 2兆9979億円 ▲167億円 ▲97億円 2963億円 1兆1762億円 23.1%