福井地裁は、2015年4月14日、関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請で、再稼働を認めない決定をした。

耐震設計で想定する最大の揺れの強さである基準値振動を700ガルとした関西電力の想定に対し「2005年以降、各地の原発で基準値振動を超す地震が5回起きていることから、楽観的な見通しに過ぎない」と指摘。「想定を超える地震が起きれば施設が破損する恐れがあり、炉心損傷に至る危険が認められる」と判断した。

また、想定を下回る地震でも、外部電源が断たれて給水が止まり、原子炉の冷却機能が失われる恐れや使用済み核燃料プールの設備も原子炉のように堅固な施設に囲われていないと指摘。万が一の危険という領域をはるかに超える、現実的で切迫した危険があると認定した。

高浜原子力発電所3、4号機は、今後の司法手続きで仮処分が取り消されない限り再稼働はできない。関西電力は決定を不服として福井地裁に異議申し立てなどをする方針。異議審では今回の決定とは別の福井地裁の裁判官が担当し、仮処分の認可・取り消しを改めて判断する。

なお、関西電力は高浜原子力発電所3、4号機の再稼働が1ヶ月遅れると営業利益で180億円の悪化要因になるとみられる。