JR九州は、2012年4月6日、2012年度からの5カ年の中期経営計画を発表し、最終年度となる2016年度までに株式を上場させる目標を掲げた。2016年度の連結売上高は2011年度比12%増の3700億円、営業利益は2.5倍の250億円を目標としている。

鉄道事業では2016年に黒字化を目指す計画。割引切符の活用やみどりの窓口を減らすなどコストを削減する。鉄道運輸収入以外では、駅ビル開発など非鉄道事業の売上高を20%増の2200億円以上を見込み、全売上高の60%以上を目指す。

また、多角化の一環としてメガソーラー事業に参入。ドラッグストア事業などでのM&Aも検討し、事業の裾野を広げる考え。

なお、政府はJR九州の上場による株式売却益を最大5000億円と見込んでいる。


経営計画

  2011年 2016年
売上高 3300億円 3700億円
営業利益 - 250億円
経常利益 - 300億円
設備投資額 - 2000億円

【非鉄道事業】
 2015年春にJR大分駅の駅ビルを開業。2016年春にはJR博多駅近くにオフィスビルを柱とした複合施設を建設。

【多角化】
2012年6月に8億円を投資し宮崎県に最大出力2000キロワットの施設を建設。年215万キロワットを発電し、年間8000万円の売上を見込む。


業績

【連結】

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(予) 3788億円 535億円 360億円 - - -
2015年 3779億円 320億円 ▲4330億円 3057億円 6466億円 46.4%
2014年 3574億円 255億円 150億円 7712億円 1兆1409億円 67.2%
2013年 3548億円 212億円 115億円 7403億円 1兆1062億円 66.2%
2012年 3428億円 173億円 60億円 7298億円 1兆398億円 69.5%


【個別】

  営業収益 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年 2011億円 182億円 ▲4444億円 2623億円 5369億円 48.8%
2014年 1891億円 153億円 95億円 7402億円 1兆482億円 70.6%
2013年 1961億円 116億円 72億円 7125億円 1兆157億円 70.1%
2012年 1930億円 75億円 20億円 7010億円 9574億円 73.2%
2011年 1907億円 102億円 33億円 6785億円 9279億円 73.1%
2010年 1584億円 46億円 28億円 6710億円 9345億円 71.7%
2009年 1543億円 48億円 18億円 6694億円 9032億円 74.1%
2008年 1570億円 117億円 16億円 6610億円 8819億円 74.9%


政府 

【経営安定基金】
国はJR九州の赤字穴埋めのため、民営化時に設定した3877億円の経営安定基金を国庫に戻さず2016年度の上場前までに全額使い切る方針。2100億円を使い、2040年まで支払うことが決まっている新幹線設備を保有する鉄道・運輸機構に対する新幹線使用料(年102億円)を一括前払いに充てることを認める。1400億円を使い、金融機関や鉄道・運輸機構からの借入金返済に充てられるようにする。350億円を使い、鉄道関連投資に充てられるようにする。

経営安定基金 充当額 充当内容
3877億円 2100億円 新幹線使用料の一括前払い
1400億円 借入金返済
350億円 鉄道関連投資

【売却益の資金使途】
 政府・与党では旧国鉄職員の年金支払いなどに限られている売却益を、整備新幹線の開業前倒しの財源に充てる案が浮上。新幹線の整備財源に回すため、旧国鉄債務処理法など関連法の改正準備に入る。与党は、北海道新幹線の札幌への延伸時期を現行計画より5年早い2030年度、北陸新幹線の敦賀延伸を3年早い2022年度への前倒しを求めており、実現には約5400億円が必要と試算されている。