イギリスでは政府が100%保有するロイヤル・メールの株式を2014年春までにロンドン証券取引所に上場する。時価総額は最大30億ポンド(約4500億円)になる見通し。欧州連合(EU)では2012年に郵便が完全自由化され、各国で郵便会社の競争力強化の取組が加速している。ドイツでは2000年に株式上場。一方、フランスでは2008年に株式会社化するも、民営化議論は後退している。
状況
 日本  2015年秋をめどに上場予定
 イギリス  2014年春までに上場。株式の90%を上限に民間に売却へ
 ドイツ  2000年に上場し海外買収で成長。直営局は撤廃
 フランス  2008年に株式会社化。民営化議論は後退
 スウェーデン  2カ国で合併。非上場
 デンマーク
 ロシア  郵便事業改革に着手。将来の株式会社化で半数未満の株式を民間に売却する方針
【イギリス 2014年春に郵便を民営化】 英国政府は郵便事業を手がけるロイヤル・メールを民営化し、2014年春までにロンドン証券取引所に株式を上場する。時価総額は最大30億ポンド(約4500億円)になる見通しで、調達した資金は機械化など投資に活用し競争力を高める。 欧州連合(EU)では、2012年に郵便が完全自由化され、ネット販売による小包の取扱が増えるなど市場が拡大していることから、各国で郵便会社の競争力強化の取組が加速している。 ロイヤル・メールの主業務は集配送。窓口業務を手がけるポストオフィスは分離されており、上場の対象外。また株式の魅力を高めるために年金債務も切り離したという。 【ロシア 郵便事業改革に着手】 民間経営者を登用し大幅な合理化に着手。小口の送金など郵便局が個人向けに扱う金融業務を拡充し、将来は株式会社化で半数未満の株式を民間に売却する方針が望ましいとしている。ロシアの郵便サービスはソ連時代から主要国中で最低水準にとどまっており、国内の小包配送に数ヶ月かかる場合がある。紛失するケースが全体の10%に上るとの民間調査結果もあり、企業の多くは高価な民間物量業者を利用せざるをえなくなっているという。 ロシア郵便局は約38万人の職員を抱える巨大組織。過去に幾度も経営陣によって経営改善策が立てられたものの、職員などの抵抗をうけてほとんどが計画倒れに終わっている。