新日鉄住金の100%子会社である新日鉄住金マテリアルズは、2016年7月12日、プリプレグ(炭素繊維の束の間に樹脂を浸透させたシート状の製品)で作業効率が良いとされる粘着性・柔軟性を持ち、成形品(炭素繊維強化プラスチック)にしても強度・剛性、耐衝撃を実現する長所を両立した軽量化素材の開発に世界で初めて成功したと発表した。義足や義肢などの医療用装具や自転車などのスポーツ用具などのカスタマイズを低コストで可能にする。また、自動車への採用を目指す。

開発した新素材は、自動車部品に採用する際に障壁となっていた生産性の低さを改善。特殊な樹脂を開発することで加工時間を数分に短縮した。また、新素材は一般的な炭素繊維プラスチックの成形設備がそのまま適用できるので、顧客にとっては新たな設備投資が不要であるという。

新日鉄住金マテリアルズは、新素材を使ったプリプレグや板材を作る量産ラインを2017年春までに立ち上げるもよう。鉄と炭素繊維の融合により、自動車の軽量化や燃費向上に貢献するとしている。

なお、炭素繊維強化プラスチックの開発を先導してきた樹脂メーカーの見通しでは、三菱ケミカルは自動車向け炭素繊維の世界需要を2020年に2015年の5倍の2万5000トンに達すると予測。東レは自動車部品向け炭素繊維複合材の世界売上高を2020年度をめどに2015年度比3倍に引き上げる方針を持つ。


新日鉄住金 新たな軽量化素材を開発

項目 内容
特徴 炭素繊維で熱硬化性と熱可塑性の長所を両立した新材料
量産 2017年春にプリプレグや板材を作る量産ラインを立ち上げ
目標 自動車の軽量化や燃費向上に貢献


樹脂メーカーの自動車向け炭素繊維の見通し

樹脂メーカー 自動車向け炭素繊維の見通し
三菱ケミカル 世界需要が2020年に2015年の5倍の2万5000トンに達する
東レ 世界売上高を2020年度をめどに2015年度比3倍に引き上げ